L'art de croire             竹下節子ブログ

チュイルリーのモアイ像

 メトロで配られるフリーペーパーに、2010年に、イースター島からモアイ像がやってくる、と書いてあった。今年の夏にパリを訪れていたラパヌイの族長ペドロ・エドムンド・パオアさんらが、ルーヴルそばのチュイルリーを訪れた時、突然、そこが強いエネルギーの場であると感じて、モアイ像がここに来たいと言っている、というような話になったらしい。

 彼らによると、モアイは、この場所に置かれることで、人類の意識を物質的なものから変革するスピリチュアルなエネルギーを放射するんだそうだ。

 パリには原始美術系のケー・ブランリー美術館などもあるのに、この話は、PSのパリ市長も1区のUMP系市長も知らないところで、イタリアの財団が金を出して、LVMHのルイ・ヴィトンのキャンペーンも絡んで実現するそうだ。

 ネットで調べたら、日本では、2007年9月に、日本とチリの修好150周年記念行事として、丸ビルの中でモアイ像が展示されたとある。ただし、世界遺産のやつではなく、現地での「新作」の一つだそうだ。
 1990年代に日本(官民どちらか知らないが)の援助で新しいモアイが15体作られたことも知った。その時のものが、1992年以来、「平和のモアイ」として世界を回っているとか。

 世界遺産って、勝手に動かせるのか?

 パリに来るってやつは「新作」なのか、古い980体の一つなのか?

 フランスのの記事によると、980体の一つらしく、その移動に関する手続きが大変で、それが2009年いっぱいかかるとある。

 ヴラマンクの頃から、プリミティヴ・アートはフランスのアーティストをかなりインスパイアしてきたけれど、ラパヌイの人から見ても今、世界人類に貢献できるようなエネルギーの場がパリにあって、そこにモアイを持ってきたら、わずか2週間でも、人類の意識が変わるんだ、と言ってもらえるなんて、けっこう「両想い」だなあ。

 こういう、「スピリチュアルなエネルギーが何たら」とかいう言説に、あまりニューエイジっぽくもなく、カルト的でもなく、トンでも風でもなく、嘲笑的でもなく、観光一辺倒や商業主義丸見えでもなく、半ば敬虔に、半ばアートの言説として、さりげなく居場所を与えて共有できるところが、この国の魅力だなあと思う。

 2010年には、チュイルリーに来たい、と言ったというモアイ像に会ってみよう。人類全部は無理でも私一人くらいの意識は変革できるかも?
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by mariastella | 2008-12-17 23:20 | 雑感
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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