L'art de croire             竹下節子ブログ

帰りの飛行機で見た映画

 帰仏。昼のフライトで、、久しぶりの日系航空会社なので、日本映画を集中的に見ることにする。

 まず、『20世紀少年』の第1部と第2部。

 2作続けて見ると長い。

 しかも完結してないのでフラストレーション。

 浦沢直樹の原作をビッグコミック系雑誌ではじめの頃少し読んだことがある。彼のコミックはいつも謎が壮大で、『モンスター』なんかは最後が気になって、ついに日本でコミック最終巻を購入したこともある。

 しかし、「科学冒険映画」と銘打つにしては、実写にすると荒唐無稽さばかり目立ち、ラストの、人間が死んでよみがえったら神になるとか、先例はイエス・キリストただ一人、とか大仰に言われると、キリスト教徒でなくとも、マスクを取って顔を確認しなくてもいいんかい、とつっこみをいれたくなるのではないか。

 万博のパロディがあったり、1969年の日本が、高校生だった私と、映画の主人公である小学生の男の子たちとではここまでイメージが違うんだなあ、と感慨深いものがある。彼らの日本の光景(原っぱの秘密基地とか)は、まるで、私の小学校の頃の日本の光景で、時代よりも年代の問題なんだろうか。

 概して面白い小説が映画化されると、切り捨てられる部分が多く想像力も乏しくなるので、つまらなくなる感が多いが、コミックの映画化もアニメならいざしらず、薄手になると思った。俳優の魅力とか映像のディティールの面白さはあるのだけれど。逆に、面白い小説がコミック化されて成功する例はわりとある。コミックのレベルの高さ、潜在力は、実写をしのいで、小説に拮抗するのだろうか。

 日本では豚インフルエンザ騒ぎがすごかったので、(フランスに戻ると全然トーンが違う)、毒食わば皿までと開き直って
 
 『感染列島』(瀬々敬久監督)も見る。

 まあ予定調和風のカタストロフィ映画だが、それでも、正直言って、『20世紀少年』よりじっくり感があって楽しめた。主人公のカップルは結ばれないが、10代の若いカップルが助かるところで希望が繋がれている。
 『20世紀少年』もこの映画も、何かというと、外国ニュースが流れる。
 前者では、「世界征服』が目的だから、ロンドン。パリ、NYも絶滅したりするが、こっちは、日本が罰せられている、という自虐的な感じが強い。実際、結構な被害が出て、後味はすかっとしない。

 南の島に感染源を探しに行くというシーンもあって、変化に富んでいるので飽きないけど。

 次に口直しに

 『旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ』(マキノ雅彦監督)を見た。

 それこそ予定調和のほのぼの物語かと思ったら、なかなか手に汗握る展開だ。
 正直これが一番おもしろかった。

 すべての動物物語と同様、動物たちのインパクトがすごいこともあるが、園長役の、西田敏行をはじめ動物にくわれないだけの芸達者がそろっていて、楽しい。

 ただ、この映画の若い飼育係のエピソードといい、20世紀少年の子供時代といい、なんだか、日本の小学校では「いじめ」がトラウマであり原体験(いじめていたり目撃していた者も含めて)であるらしい陰惨な感じがあって、それが「よくあること」らしいのは、胸が悪くなる。

 自殺対策といじめ対策は、景気対策やインフルエンザ対策よりも根源的で急を要するんじゃないか。

 その後、1本くらいフランス映画を見ておこうと思って、

 『L'Heure d'été』 (Olivier Assayas 監督)

 を見た。母親が死んだ後の遺産相続に3人の子供が直面する話で、これも今の私と近い状況なので身につまされたが、他の4本の日本映画とは、全く違う空気が流れている。
 兄弟の葛藤とか、老いた母の心理とか、もちろん普遍的な人間感情は共通しているのだが、日本とフランスって、何かが決定的に違う。
 この映画での母親の誕生日パーティや、いろいろな会話、人と人との距離、反応など、こちらの方が、私の日常にずっと近い感じがするのは当然といえば当然だが、何かもう、私は日本的世界では生きられないなあと思ってしまった。

 それこそいじめにあうか、鬱病になりそうだ。

 

 
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by mariastella | 2009-05-04 16:35 | 映画
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