L'art de croire             竹下節子ブログ

フランス人と日本人の自虐の本音

 日本人は、よく「外人の見た日本人」の類が好きだといわれる。日本語は特殊だとか、日本文化は特殊だとかいうのも言われるのもわりと好きで、「ちょっとおかしいよ、世界のスタンダード(アングロサクソンのスタンダードだったりするが)とずれてるよ」、と言われるのも好きみたいだ。それと、自国文化を軽視したり、卑下したり、舶来崇拝があったりするのとは裏腹をなしている。

 フランスは日本のような「周縁文化」じゃなくて「中華思想」だから自分が偉いと見なしてるのかと思いがちだが、実は、フランス人も、「外人の見たフランス人」論が好きで、アメリカ人ジャーナリストが「フランスって変だよなあ」、なんていう本を「フランス人向け」に出すとよく売れたりする。「フランスの例外」という言葉もあって、他のヨーロッパ諸国ともずれていると認めるのが好きだ。

 そのわりに、伝統的にイタリアものを崇拝したり、アメリカ好きもいるし、中国とか日本とかチベットとか、遠い感じの文化を論じるのもスノビズムの一種になっている。

 私が、自分のトリオの最初のCDを日本語の解説入りだけで出した時に、フランス音楽なのにフランスではそれがハンディにならないかと気にした時、少なからぬフランス人にこう言われた。

 「フランスではね、情けないけど、自国レーベルのCDよりも、外国のCDとかの方がかっこいいと思われるんで、このままの方がいいよ」

 なんだか、そういう舶来志向って「日本の特徴」かと思っていたので意外だった。

 実際、フランス・バロックをやるのに、日本人の私が混ざっていることは、ハンディとされたことがなく、むしろステイタスだと扱われることもある。

 で、自国人が外国人に批判されるようなテーマをわざわざ持ち出して、自虐的に話題にするのも好きだ。

 世界の31カ国のホテルが観光客の採点(金ばなれ、マナー、服装など)をした。
 総合で圧倒的1位は日本人で、最後尾はインド人中国人フランス人の3者だそうで、この話をすると、フランス人はみな喜ぶ。日本人は結構シニックになる。

 フランス人は、

 「ははは、そうだろうな、フランス人は文句ばっかりいうからな」

 と認める。

 日本人は、

 「これは見方を変えれば、日本人はおとなしくて都合のいい客だというだけのことではないのか」

 と、ちょっと、すねたりする。

 しかし、フランス人も日本人も、本当は、自虐の本音に、自信がある。自信があるからこそ、他から批判されるのも好きという余裕がある、という感じだ。

 日本人はちょっと変、みたいな話でも、「いや、実は、これこそが世界に誇る特徴なのだ」という人も出てくる。

 たとえば、

 「日本人は無宗教だって言われるけど、宗教に深入りしないで付き合う大人の国なんだよね。一神教のやつらのように、原理主義の戦争なんかしないもんね」

 という感じだ。

 フランス人も同じで、自虐ネタの中にも、本当は、その裏返しの自信があることが多い。

 決定的に違うなあ、と思うのは、

 日本人が、

 「日本人はえてして・・・と批判される、でも、本当はね・・・日本人は正しいんだ」

 と集団的自己弁護するのに対して、フランス人は、ずばり、

 「フランス人はえてして・・・と批判される、でも、僕はね・・・ちがうんだ」

 と、個人的自己弁護をするところである。

 この辺は、日本人とフランス人が似て非なる、両極端だなあ、と、思わされる。
 でも、そのニュアンスの差がつかめれば、他のアジア人やアメリカ人よりも付き合いやすいなあと思うのは私だけだろうか。

 

 
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by mariastella | 2009-05-30 02:29 | フランス
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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