せっかく夢の正律ギターを手に入れたのに、今度は弦の調整に悩まされている。
ヴィオラの弦はギター弦に比べてずっと高価だが、長持ちするし、音も安定している。
調弦もネックの糸巻き部分だけでなくて、緒の部分にも微調整のアジャスターがついているし、何よりも左手の指の押さえ加減で演奏中の「土壇場の微調整」というのが可能である。耳さえしっかりと、「鳴る前の音」を聴いていれば大丈夫だ。その点で、声楽と同じである。
しかしギター弦は、例えば、開放弦に対して第3ポジション(開放弦より一音半高くなる)が低すぎると感じた時に、弦を締めると、開放弦は変わらないのに第3ポジションがちゃんと高くなる時がある。
一方でしか締められないこととマチエールの関係?、ナイロン弦の上に巻かれたメタル線の向きの関係?
弦が古びると弾力を失うからもちろん不正確になるし、調弦への反応の仕方も変わる。
新しい弦でも、同じメーカーの同じ張力の弦でも、音の立ち上がりと終わりとの音程の差が大きすぎる弦にあたることも少なくない。楽器との相性というのもある。
私たちの「正律ギター」は、各弦のラを418に調弦している。だから、例えば、第2弦と第4弦のラを同時に弾くと、当然、完璧にオクターブが重なる。ところが、同じ第2弦と第4弦のレを弾いてオクターブにすると、僅かなうなりが生じるのである。
錯視というのもあるから、音程にあまり神経質になって正確な判断が下せないんじゃないかと一瞬思ったが、うなりという現象は、明らかにずれを示している。
今朝の練習で、ニ長調のLoureの出だしでこの問題が起こったので、あれこれといろいろ悩んだ。
正律ギターへの「信頼」に影が差したのである。
で、結論は、よくあることだが、弦のせい。
弦のメーカーとか張力とかもう少し試行錯誤しなくてはならない。それでもあたりはずれがあるし、しょっちゅう変える必要もあるから完璧な解決はないだろう。
平均律で何の悩みもなくて思うままに練習できるピアニストがうらやましい。