L'art de croire             竹下節子ブログ

友川かずき

 知人の息子が日本人のミュージシャンのドキュメント映画を作成中だと報告してきた。
 その歌手を知ってるか?と聞かれた。

 私は、フランスの歌手のことすら知らないのに日本の歌手のことなんて無理無理、と答えた。

 一応ネットで検索すると、なんと、私と同世代の歌手だった。でも、知らない。
東北出身で、コンプレックスがたくさんあり、岡林信康に影響を受け・・・という話で、姿を何となくイメージした。自分と同世代といわれて、うらぶれたおじさんを自然に想像するのもちょっと悲しい。

 ところが、写真を見て、ちょっと驚いた。 こういうの。
 
 http://www.interq.or.jp/www-user/kurenai/info/info.html

 なんだかとてもかっこよすぎる人だ。

 知人の息子はどんな風にこの人とめぐり合ったんだろう。

 前にこの知人の息子の映画を見に行ったとき(2008・6・6)書いた感想をコピーしよう。

 「A Skin a night-The National と 6days-REM 
 パリのサン・マルタン運河の水辺にある現代アートの巣窟みたいなところLe Point Ephemereでやってる「音楽を撮る」というフェスティヴァルに行ってきた。
 知人の息子 Vincent Moonが2作品を上映するというので。

 入口の反対側は、普通の下町の通りだが、入口は、運河に面した別世界になってる。
 美術学校に紛れ込んだみたいな感じで平均年齢はすごく若そう。そんなとこでもベビーカーに赤ちゃんを乗せた若い女も混じってるのがパリらしいと言えば言える。

 Vincent出品の2本の映画は、どちらもロックグループのコンサートやスタジオ録音の舞台裏を追ったドキュメントだ。

 私はロック・グループのことは全然知らない。

 最初のは、The National という若いグループで、メンバーには兄弟が二組いる。だから親密感がある。
 
 私は、ヘッドフォンをつけて、聴衆の嬌声の中でがんがん音を出すグループって、シャーマン状態とか、エクスタシー状態で演奏しているのかなあと何となく思っていた。

 そしたら、演奏の前に、ヴォーカルの男が、

 「Really scarely」

 と言っていた。

 その顔は、まだ少年のようでもあり、繊細で脆弱だった。

 このひと言のつぶやきで、なんとなく、演奏家って皆同じなんだなあ、と親近感を抱いた。
 
 その上、彼らは演奏家であるだけではなく、作詞、作曲をやるクリエーターでもある。
 インスピレーションと閉塞と、不安と爆発の間を往き来する姿は、アーティストとしての真摯さと孤独がにじみ出てる。

 次の映画は、REMという、これは有名なグループみたいで、言葉は少ない。でも映像的にも音楽的にもこっちの映画のほうが完成度が高い。

 しかし、このグループのメンバーの姿を見てちょっと驚いた。
 The National とは世代が違うのである。

 80年代にすでに活躍したというから、メンバーは皆50がらみだ。

 ロック歌手って、50になっても60になっても、若いときのままの削がれたような体型を維持してる人というイメージがあって、それが、「年とること」を否定、または、時間性のないところで燃え続けるアーティスト、ってブランドイメージかと漠然と思ってた。

 でもREMの人たちは、The Nationalの映画を見た後のせいか、あるいは、上演場所にいる若者たちのせいか、一目見て、「おっ、同世代」って、感じの年配だった。

 もちろん、メタボ体型とかではないんだけど、彼らは、明らかに、厚みがある。文字通りの意味で「充実」してる。つまってる。

 ここで、彼らは、「おじさんたち」とか、「昔の青年」とかには見えない。

 そして、そんな彼らのヴィジュアルは、凝縮力があって、大人感、本物感がある。

 不思議だ。

 よく、40過ぎの顔は人生の履歴書だとか、生き方が顔に現れるともいうが、REMのミュージシャンとしての、また、人間としての、背負ってきたものが詰まってる感じがする。

 The National のメンバーは若くて感受性が強そうで緊張感もあって美しいし、そこでいっしょに映画を見てた若者たちもみな、スタイリッシュできれいだ。

 でも、彼らとは明らかに異質なもの、年月を背負ったREMの発する力と存在感は、それだけで、映画を支えている。彼らにはもう、孤独が怖くない。慄えていない。
 孤独を血肉にしてしまっている男たちの充実。

 音楽もなかなかいい。
 アートの普遍性というより、人間の普遍性を再確認して、楽しかった。 」

 私は、The Natinal も REMも、友川かずきも知らない。友川かずきは、世代的にはREMと近いな。でも、国が違う。見た目の雰囲気も違う。画家で競輪評論家(!)でもあるそうだし、人間的にはさらに深みがあっておもしろいんだろう。Vincentはフランス人を扱わないで、アングロサクソンから日本に目を向ける。どんな作品になるのか興味津々だ。
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by mariastella | 2009-10-28 22:37 | 雑感
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