L'art de croire             竹下節子ブログ

POLONIA

パリの移民の歴史博物館で今日から開催のポロニアpolonia(ポーランド人の離散のこと)のオープニング・パーティが昨日行われた。招かれたので、顔を出してきた。

二度の世界大戦間のフランスでは、イタリア人移民に次いで多いのがポーランド移民だった。古くからの移民にイタリア人、ポルトガル人、ポーランド人などが多いのはカトリック国だからだと思っていたが、啓蒙時代やフランス革命の理念も本気で愛されているらしい。特に、ナポレオンがポーランド人をフランスの軍隊に組み込んで、1807年にはプロシアからワルシャワ公国を分離独立させたことで、ポーランド人からはますます気にいられたようだ。

キュリー夫人などのようにポーランドからの移民でフランスの国民的スターになった人もいる。それでも差別があったり、姓をフランス風に変更したりという話は昔はよく耳にしたが、日本人の私にはピンとこなかったし、差別の話をするとフランス人はいつも、フランスは第二次大戦ではポーランドを守るために参戦したんだ、と強調するのが常だった。

姓のフランス化については、フランス語が子音の連続に慣れないので、簡便のためであって、フランス人のふりをしたりアイデンティティを否定したりなどではないという。

確かに母音の多いイタリア名のイタリア移民などは普通にイタリア姓を名乗っている。

名前の方はカトリック国だからいわゆる「聖人名」が多く、聖人名の基本はもともとラテン語だから、ポーランドの名もイタリアの名も、フランス風に読み替えても同じ聖人なので問題ない。

名前さえフランス読みの聖人名なら姓が外国風でもまったく違和感が持たれない。

(シンガポールなどで、アジア人が通称として普通にキリスト教系の名を使っているのは心理的にどうなんだろう。)

今や、ポーランドはヨーロッパ連合の一員だし、フランスも、西アフリカや北アフリカからのイスラム系移民対策と差別の方に熱心(?)なので、ポーランド系差別など過去のことになってしまった感がある。それにポーランド系の人は言語能力にも優れているし、芸術シーンで活躍する人も多いので華やかだ。最近セザール賞を取ったポランスキー監督へのほとんど過剰な支援もそのいい例だ。

しかし、ノールの旧炭鉱では、ポーランド人=炭鉱夫というイメージが強く、今回の展示でもその写真が多いので、その偏見が嫌だ、と語っているポーランド人もいた。

しかし、ポーランド人移民炭鉱夫の2代目の多くは、フランスの学校システムを活用して、平均的フランス人を上回るキャリアを築いている。

同じような労働に駆り出されたアルジェリア系移民とはそのへんが大分違う。

普遍的人権、基本的人権、と言っても、内実は長いこと

「人間=白人キリスト教徒(カトリックがベター)」

だったわけだ。

それでも、長い目で見れば、

昔は

「人間=同じ領土内にいる白人で資産を持っている男」

が内実だったので、進歩している。

これは、人がエゴイズムを捨てるようになったからではなく、単にそれまで見えなかったものが少しずつ見えるようになってきたということでもある。

まだまだ見えていないものは、きっとたくさんある。
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by mariastella | 2011-03-02 19:58 | 雑感
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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