L'art de croire             竹下節子ブログ

犬。

日曜の夜のニュースを見ていたら、日本について妙なものと、リビアについて嫌なものがあった。

日本の方は、はりきってフランスから犬を連れて行った救助隊が、結局日本政府の許可が下りず、まったく何もできずにもうすぐ帰仏するという話だった。

そして、フランス人はもちろん、救助隊が全然いない被災地が映されて、救助活動がまったくなされていないような印象が与えられた。そして、ようやくやってきた日本人の救助隊というか捜索隊は、救助犬や機械でなく、竹の棒を持ってごそごそやっているところが移される。

日本が外国の救助隊を拒否するのは自尊心のせいかもしれないなどというナレーションが流れていた。

確か阪神大震災の時も、外国の犬連れの捜索隊を足止めしたというような報道があったのを覚えているが実際はどうなのだろう。

フランスは原子炉周囲で弁を開閉したり遠隔操作で作業したりできるロボットを持っている唯一の国だと言って、それを福島原発に貸し出すと、昨日のニュースで得意そうに言っていたが、あれもどうなったのだろう。

なんだかしっくりこないニュースだった。

もう一つは、フランスが空爆したリビアのベンガジの様子だ。

「フランスありがとう、サルコジありがとう」と反政府派が喜ぶところを映すのは、やらせだとしてもまあ理解できる。

ところが、その外に、ゴミ袋みたいなものを首に結びつけられた犬が映され、人々の言葉にフランス語がかぶされているのだが、カダフィは今この犬のような目をしているに違いない、だとか、カダフィは動物以下だとか、人々が犬を囲んで口々に罵っている。

犬はカダフィの代わりにさらしものにされているという設定で、最後に誰かが犬を殴るのがちらと見えたところで映像が切れている(1チャンネルの20h40頃)。

ベンガジでカダフィ軍の黒人の傭兵がリンチされていたことは前に書いたが、この犬の映像もショックだった。ものすごく後味が悪い。この後、どうなったんだろうか。

日本の震災でペットと離れ離れになった人や緊急で見捨てざるを得なかった人たちの悲しみは大きい。ただの揺れだけでも、猫の中にはパニックになって、外へ飛び出すものもいる。でも犬なら飼い主にぴったりついていると思う。

自分たちがいないと生きていけないような弱い存在を守るという行動は、見るだけで、何か信頼感をそそられる。

けれども、人間の敵に対する憎しみを、生きた犬に転嫁するなんて、目の前の敵をリンチするよりもある意味でもっと救いようのない、黒々とした闇を感じてしまう。

独裁者の写真を燃やすとか銅像を引き倒すとかならまだ分かるが。

はるばる日本にまで行ったのに何もできなかったフランスの救助犬、ベンガジで「ありがとうフランス」と歓声をあげる人たちからつるし上げられる哀れな犬。

善意に燃えても憎悪に身を焦がしても、人の心など、すぐ張りつめて切れそうなくらいに、弱くて、悲しい。

追記:この記事についての訂正や事実関係を次の記事
http://spinou.exblog.jp/16084675/
に乗せています。合わせてご覧ください。
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by mariastella | 2011-03-21 07:52 | 雑感
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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