L'art de croire             竹下節子ブログ

昨日の続き(訂正も含めて)

昨日の「犬」の記事について、サイト http://setukotakeshita.com/ の掲示板にコメントをいただいた。まず、以下に、コピー。

>>はりきってフランスから犬を連れて行った救助隊が、結局日本政府の許可が下りず、まったく何もできずにもうすぐ帰仏するという話だった。

 >これがそもそも、完璧な捏造ですから。確かに阪神大震災のころは救助犬が検疫にひっかかって、そういうことがありましたが、今回の震災ではそのような事実はございません。現にフランス以外のスイス、韓国、オーストラリア、中国などの救助隊は犬連れで皆さん活動なさってましたし。それとも、フランスだけは拒否されたんでしょうか?それも、解せない、不思議極まりない話。

 ちなみにスイス救助隊の活動記です。

http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/content.html?cid=29755998

>>竹の棒を持ってごそごそやっているところが移される。

 >これはですね、今の段階で遺体を発見しても、回収する余裕がない、あくまで生存者救助が優先するので、遺体を発見したら、事態が落ち着いた時期に回収できるように印をつけてまわっているんですが。そんなことも聞かなかった、確認しなかったんでしょうかね?

 というか、何も取材しない(としか思えない)で、現場で不眠不休で活動している消防、自衛隊、警察、その他ボランティアなどなどの皆さんを不当に貶めているとしかいいようがない話で抗議した方がいいような気がしますが。

コピーは一応ここまで。

で、このコメントを読む前、今朝このニュースのことを他のフランス人に話したら、テレビのニュースはひどいから見ないことにしている、とあっさり言われてしまった。

その後でこのコメントを読んで、フランス語ネットで検索したら、フランス救助隊の毎日の報告が出てきて、どうも、

そもそも犬なんて連れて行っていないようだ。

私も変だと思ったのだが。

で、彼らは、3月15日(追記: 14日到着でした)に仙台空港の近くで、2kmにわたって400mの幅で捜索を開始したとあった。そして16の遺体を発見、遺体の回収は日本人にしかできないことになっているので、その度に日本人チームに連絡。
次の日もがんばろうとしていたら、パリから指令があって、放射能汚染の危険があるから仙台より300キロ以上北にある米軍基地(三沢)に撤退するように言われて、そのまま何もできないとあった。

ではあのテレビニュースはなんだったのか ?

フランス政府が自国の救助隊をさっさと避難させたことを隠すため、日本が救助を許可しないなどという情報を、ねつ造した ?

そのついでに、阪神大震災の時にあった救助犬の検疫の問題かなんかを再利用した ?

それにしても、日本の自尊心がどうとかいうナレーションをかぶせるなんて・・・それって、もしフランスに大災害が起こったら、フランスは「いやぼくんちで全部やれるから」という印象を国民に与えなくてはいけないというのが常にあって、それを投影しているんだろうか。

どちらにしても明らかに悪質なルポルタージュだ。しかも、確か、そちらは第2チャンネルのほぼ公共放送。これはかなり問題があるのでは・・・

と思って、今2チャンネルのサイトを開いて昨夜のニュースをもう一度確認してみた(便利な時代だ)。

すると、改めて聞くと、そのルポを紹介する司会者がまず、「なぜ日本側が頼まないのか理解に苦しむと言っている」と言う。

その後、救援隊がほとんど何もしていない、といった後で「日本は検疫上の理由で犬を連れてくることを拒否した」というナレーションがあった。

なるほど、これが本当だとしたら、フランスは犬を連れてきたかったのに、日本に拒否されたのでそもそも連れて行かなかったのだという話になる。他の国の犬はいたのだから、もうそれ以上は必要ないということなのか、実際連れて行こうとしたのかどうかもはっきりしない。

私がフランスが連れてきた犬の活動を拒否されたと思い違いをしたのだろう。訂正します。でも、思い違いをされても仕方がないような言い方だったし、犬がいないんならそんなことをあらためてわざわざ言うのも意味がない。

それから、放射能汚染回避のために三沢基地に避難したこと、日本はそれに対して異を唱えたと言っている(ここのところは軽くスルーされているので印象に残らなかったのだ! アメリカがなんか関係しているのかなあ、と漠然と思わせるほどだった)。

次に、誰もいない被災地が映され、「不思議なことに救援隊の姿はほとんど見かけなかった。国の自尊心か、それとも弱みを見せたくないのか」というナレーションが入り、次に、「(レポーターが)ようやく遭遇したのは800キロ離れた京都からの救助隊で、捜索用の器機なしで竹の棒だけだった」というナレーションと竹の棒。

うーん…やっぱり最初のイントロダクションといい、ナレーションのし方と言い、日本が「機器を備えた外国人救助隊よりも、竹の棒を持つ自前の救助隊に頼りたい」と思っているというニュアンスにとられても不思議ではない。

もちろん他国の犬連れの救援隊の姿など映さない。

これなら、印象操作や編集ということはあっても、ねつ造とまでは断定できないかもしれない。しかし、フランス政府が原発パニックになって退避させたというのを、日本が助けてほしくなかったとすり替えているのは明らかである。私でさえ、妙な話だなあ、と思ったのだから、その意図は成功している。

イントロで「なぜ日本は助けを求めないのか? 不思議ですね、では現地からの報告を、見てみましょう」というノリでつっておいて、

「いやあ、ほんとはフランスが放射能が怖かったんで逃げたんですね、日本人からもあきれられてますよ」

というふうにはまとめないで、
その事実から目をそらしてミスリードするために、

犬がどうのこうの、竹棒がどうのこうの、救援隊の姿もほとんど見かけない、というシーンを流しているわけだ。

だから、ルポを見おわった後の印象も、

「不思議ですね・・・」のままだったのである。

ちなみに私はこの震災の情報はほぼ日本のNHKニュースを含めたネットと、ラジオと活字情報で得ている。フランス語のテレビも外信を配信するニュース専門チャンネルばかりだった(これは繰り返しが多いので長くは見ない)。

で、たまに、最も一般大衆向けの夕方8時の1チャンネルと2チャンネルのニュースを見ると、すごく変なものばかりにぶち当たるのだ。

そんなわけだから、センセーショナルな週刊誌や新聞など読むのも時間の無駄だからやらないけれど、印象操作の方法を細かく分析すればそれはそれで興味深いかもしれない。

ついでに、第1チャンネルの「ベンガジの犬」の方も、ビデオで確認してみようかと思ったが、あの犬の姿をもう一度見るのはつらいのでやめておく。

(追記 http://6318.teacup.com/hiromin/bbs/431 )
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by mariastella | 2011-03-21 22:14 | フランス
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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