L'art de croire             竹下節子ブログ

ルルドの奇跡の起こり方 その8

洞窟の前で祈ったセルジュは、天に昇った心地になった。

思わず自分の額に指で十字を切った。

それまで一度もしたことのない仕草だった。

マリアがベルナデットに促したように、セルジュも水を汲み、飲み、顔を洗った。

その後で立ちあがって歩いた。

10メートルほど進むと、左足全体に強烈な痛みが走り、セルジュは倒れた。

人々が駆けつけた。気分が悪くなったのだと思われたのだ。

セルジュは木にもたれて落ち着こうとした。

けれども激しい痛みがまた襲ってきて、脚がもぎ取られるかと思った。

セルジュは叫んだ。

この時にセルジュの体に何が起こったのかは分からないが、ともかくそれは、強烈な痛みとして感じられるものだったのだ。

体の歪みを治すと称する施術の後でも、痛みが取れる前に、一時、施術前よりも痛みがひどくなる、というような症状はよく耳にする。

「治り方」が超自然でも、「感じ方」は普通の生理的神経的なものになるのだろうか。

直前にセルジュの得た多幸感と、その後の激痛は対照的だった。

(続く)
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by mariastella | 2011-04-22 07:52 | 宗教
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