L'art de croire             竹下節子ブログ

Gérard Longuet

12日の国会でリビアへの空撃の続行が可決された。社会党も合意した。2008年の憲法改正によって、軍事行動が4ヶ月を超えたら続行は国会の承認を必要とするからだ。

実に4ヶ月も、当初の「ベンガジの市民を守る」などという目的から「カダフィを失脚させる」に変化させて、アラブ連合の離反を経て、フランスの主導が続いているわけである。ヘリコプターで反乱軍に武器をばらまいたり、民事施設を誤爆したり、どんどん悪い方向に行っている。

同じ日にサルコジがアフガニスタンのフランス軍を電撃慰問してフランス軍の暫時撤退を発表したかと思うと、次の日にはそのフランス軍がタリバンの自爆テロの犠牲になった。シリアでもフランス大使館が暴徒に襲われている。その次の日が革命記念日でシャンゼリゼを戦車や軍隊が行進する。

そういう「力」づくの空気の中で、13日の夕方のテレビ・ニュースに国防大臣のジェラール・ロンゲが出演して、アフガニスタンからの撤退の前に、NATO軍が敗退したという印象を与えるためにテロ行為が仕掛けられているのだ、と語っていた。

その時、「では、この戦争は成功したんですか、失敗」だったんですか? 」と問われて、ロンゲはきっぱりと

 「失敗(échec)です」

と答えた。

それで意外だと思ったら、

「すべての戦争は、失敗です」

「殺すこと、それは失敗です」

と重ねて言った。

勝利か敗退かと問われたのではなく、ましてや侵略か正義の戦争かと問われたのでもなく、成功か失敗かと問われたわけだが、「すべての戦争は失敗」、なぜなら戦争とは殺すことで、「殺すことは失敗である」、と続けたことには、ある種の潔さを感じた。

国によるもう一つの「殺すこと」である死刑を廃止した国のことばとして最低限のモラルを示していると思うからだ。

そもそも戦争とは「外交の失敗」の結果だということでもある。

リビアについても、カダフィの息子との水面下での交渉があり得るらしいし、何とか「殺す」以外の方法によって、これ以上「失敗」を拡大しないようにしてほしい。

アメリカの猿真似をするフランスの好戦ぶりに嫌気がさしていたが、こういう立場の人がこういうフレーズをきっぱり口にするのは印象的だった。

日本では復興大臣の失言による失脚だの、政治家の言葉の「格のなさ」のニュースが目立つことが多いので対照的だと思った。
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by mariastella | 2011-07-14 08:33 | フランス
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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