最近手にした日本語の本
今回日本で買って持ってきた本の一部
1.『世阿弥の稽古哲学』西平直 東京大学出版会 2.『新宗教と巨大建築』五十嵐太郎 ちくま学芸文庫 3.『摩擦との闘い - 家電の中の厳しき世界』日本トライボロジー学会 コロナ社 4.『人はなぜだまされるのか』石川幹人 ブルーバックス 5.『予想能』藤井直敬 岩波科学ライブラリー 脳は情報を予測する装置として進化したことや、法則発見機能の進化などは、それを期待する人間の心理と共に興味深い。 日本にいるうちに読んだ本の一部 1.『働かないアリに意義がある』長谷川英祐 メディアファクトリー新書 集団と個の最適関係というのはおもしろい。 利他的行為の進化の説明の一つに、怪我などの一時的コストも周りからの尊敬などで改称し長期的には得をして最終的な適応度が高くなる、などがあった。修道会などの独身集団でこういう適応をするとしたら、それは個の適応ではなくてグループの適応ということになる。 「家」の存続のために切腹したりするのも似たようなもの。 「完全な適応」が生じれば進化は終わり、全能の神となる。 それはどのような環境でも競争に勝てる、という意味らしい。 だとしたら、「神」、ちょっと、むなしい。 2.『原発事故、放射能、ケンカ対談』副島隆彦、武田邦彦 幻冬舎 母親が子供を心配する気持を利用して煽動するのかどうかとか、女は社会性ゼロとか、陰謀論風の言辞とか、一見、副島さんが挑発的で武田さんが穏健で誠実に見える。 副島さんが、「武田さんは東大の教養学科をご卒業です。この教養学科というのは、理科系と文科系が混ざる特殊な英才教育をする所だというぐらいのことは、私でも知っています。」として、世の中には、学部学科の出身の区別がトーテムのようにある、と言っている。 教養学科は進学の偏差値が高くて、第二法学部とか言われていたが、「特殊な英才教育」という見方があったんだろうか。 それでも何となく親近感を覚えて武田さんの略歴を読んだら、カバーの方には誤植があって、「基礎科学科」が「基礎学科」と書いてあった。 トーテムという文脈でいうと「基礎・学科」というのは意味をなさないし、「基礎科学・科」でないとまずいかも。まあ当時は「教養学部・教養学科・基礎科学分科」という名前だったのだろう。 ここを卒業したら内部じゃエリートで就職率も高いのだけれど、「教養学士」というなんだか中途半端なおバカな肩書きになって、外部の「専門家」から指さされ続けたりすることもあるかもしれない。 まあ武田さんは順調に出世して、副島さんからも「英才教育トーテム」などと評されているわけだ。それはともかく、原子力事故が複数あればそれを「横断的に見なくてはならない」と言うように、俯瞰的に見ることで全体の理解を深めていこうという姿勢などは、いかにも「教養学科」マインドを持ち続けているのだなあ、と思う。 3.『東北地方太平洋沖地震は"予知"できなかったのか? - 地震予知戦略や地震発生確率の考え方から明らかになる超巨大地震の可能性』佃為成 サイエンス・アイ新書 予知、予測、予報、予言の違いやメカニズムを、東北沖大地震をなぜ予知できなかったのかという観点ら説明したもの。筆者は地震予知の専門家。 これを読んでいたら、次の東海大地震より西南日本大地震の方が怖くなってきた。しかし長期予知とか確率のルールとかを見ていくと、毎日の生活ではやはり、「偶然」とか「運命」とか「ランダム」という言葉に落ち着くしかなさそうだ。 日本を離れて地震リスクの少ない国にずっと住んでいる日本人たちの「地震に対する心象」の実態は、日本にいる日本人とはだいぶ違うのではないかと思う。でも、誰もそれを敢えて分析しようとはしない。 屈折している。 今はそれに放射汚染まで加わった。 心の整理がつかないで動揺している人は、少なくない。
by mariastella
| 2011-09-22 05:18
| 本
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