L'art de croire             竹下節子ブログ

パリのジャンヌ・ダルク

最近いろいろあってゆっくりとジャンヌ・ダルクのまとめにかかれていない。

だからパリに出たついでに聖ジャンヌ・ダルク・バジリカ聖堂に寄ってきた。

ここはミサの時意外に一般公開していないので、普通の人には敷居が高いのが残念だ。

パリ市内にはバジリカ聖堂という特別の巡礼対象になっている大聖堂がいくつかある。

観光客にも有名なのはノートルダム大聖堂やモンマルトルのサクレ・クール。

パリの一等地にあって聖母のヴィジョンがあったノートルダム・デ・ヴィクトワール、

ノートルダム・デュ・ペルペテュエル・スクール(恒久の救済の聖母)(ここはローマのサンタ・マリア大バジリカ聖堂の奇跡のイコンのコピーを有していて1966年にバジリカ聖堂として認定された。)

7区にあるサント・クロチルドは、19世紀のネオゴティックで、遠くから尖塔を見ると、小ぶりのノートルダム大聖堂かと思えるほどだ。
ここは、1897年のクローヴィス洗礼1400周年を記念してバジリカに認定された。(クロチルドはクローヴィスの妻。クローヴィスの洗礼でキリスト教国としてのフランスの歴史が始まった。

つまり、他のバジリカは、聖母、王妃、イエスの聖心臓と、錚々たる聖人に捧げられているのに、その他に、15世紀に生きた普通の村娘で17歳で歴史に登場、19歳で火刑台で殺された処女戦士ジャンヌ・ダルクが、1920年になってようやく聖女になったということで、聖母と並んでフランスの守護聖女になって首都にバジリカ聖堂を建ててもらったわけだ。

このバジリカは、18区のシャペル通りRue de la Chapelleにあるサン・ドニ教会にくっついて建てられている。1429年、オルレアンを奪還した後で、パリに攻め込もうとしたジャンヌは、その前にこの教会で一晩を祈って過ごした。その頃、ここは城壁に囲まれたパリ市内ではなく郊外の丘の上だったのだ。

サン・ドニとはパリの初代司教で、殉教して首をはねられて、その首を抱えて丘に登りモン・マルトル(殉教者の丘)の名を残した。その向こうにあるサン・ドニ市にはサン・ドニのバジリカ聖堂があって代々の国王の墓所になっている。
18 区のサンドニ教会はその出店みたいなもので、ここからサンドニのバジリカまで、聖体や聖像を掲げた立派な行列があったわけだ。

それが今は、サン・ドニ市も、サン・ドニ教会のあたりも、アラブ・アフリカ系の移民の多いゲットー化している区域が多く、モスクでもあった方が人が集まりそうな人口構成になっている。治安も悪く、とても巡礼者がバジリカを訪れるという雰囲気ではない。

で、平日はずっと閉まっている。

バジリカが開いている日も、サン・ドニ教会の内側から入るようになっている。バジリカの立派な表門は閉じられたままなのだ。

サン・ドニ教会でも、蝋燭を備える人が小銭を入れるスタンドが壊されて聖アントワーヌの像が倒されて首が落ちた(特別にバジリカを案内してくれた係りの人が、告解室の扉を開けてその無残な姿を見せてくれた)。聖母子像は、木製だが銅で装飾をされているのでそれをはがしに来る者もいる。あちこちに監視カメラがある。

バジリカは1200人が集まれる広々としたものだ。

ジャンヌ・ダルクの像は全部で三つある。

バジリカの前庭にブロンズ製で甲冑姿の勇ましいジャンヌ。

バジリカの聖堂内陣前の広間(ミサの後ここでコーヒーなどを飲める)に、女装だが、天使の翼のように衣を持ち上げて百合の花をかざし、腰には剣を帯び、軍旗も支えるジャンヌ。

そして、サン・ドニ教会の方に、中に入ってすぐ左手に火刑台に縛られたジャンヌの像がある。顔は若い娘のそれだが、はだけてそらしたたくましい肩や胸には女性らしいところがなく、ギリシャの勇士の姿のようだ。

どれも20世紀初頭テイストの像だが、三つ合わせてながめると胸に迫るものがある。

サン・ドニ教会にはパリの守護聖女ジュヌヴィエーヴもやってきてサン・ドニの遺骨の前で祈ったと言われている。ジュヌヴィエーヴはパリをフン族から守った。

ジャンヌ・ダルクもパリをイギリスと組んだブルゴーニュ派から「解放」しようとしたのだが、聖ドニは、ちょっと困ったのかもしれない。ジャンヌは結局パリを攻略できずに負傷してしまった。

ジャンヌ・ダルク・バジリカ聖堂のあるメトロMarx Dormoyと同じ12番線をサン・ラザールの方に向かって乗ると、ノートルダム・ド・ロレットという駅があり、この教会はとても19世紀らしい。
http://www.patrimoine-histoire.fr/Patrimoine/Paris/Paris-Notre-Dame-de-Lorette.htm

パリの教会では最も色彩豊かと言われていて、美術館のように当時のいろいろな画家や彫刻家を集めて飾ったので、統一は取れていないがいろいろなスタイルを楽しめる。ちょっとした劇場のようだ。フランス語さえ読めれば、全体の解説も各部分での解説も懇切丁寧で、じっくり楽しめる。

ここも下町ではあるが、教会の中にはいつもかなりの人がいて聖体の前で拝んでいる。立派なオルガンがあるのでコンサートも少なくない。

このロレットというのは、マリアが受胎告知を受けた家が、ムスリムの侵入後に、天使に運ばれてきて、まずクロアチアに、それからさらにイタリアに避難させられて移築され、サンタ・カーサ(聖なる家)教会が建てられて、ノートルダム・ド・ロレットと呼ばれたのに由来する。

パリのこのノートルダム・ド・ロレットの丸天井の絵の下の方にも、そのマリアの白い家が描かれている。

マリアが死んだという家はトルコにもあるし、エルサレムの近くにもあるし、イエスが育ったナザレの教会や生まれたベツレヘムの教会もあるのだが、この「受胎告知の家」は、天使が運んで移動させたのだから、どこででも「聖堂」化できるらしい。

ノートルダム・ド・ロレットの修道会は、マザー・テレサが修道女として入会したことで有名になった。

ともかく、やはり、絶対人気の聖母マリアである。

それに比べると、オルレアンやルーアンと違って、パリでのジャンヌ・ダルクの立ち位置は、「聖女」としてはどことなく居心地が悪そうだ。

あんな立派なバジリカが、あんな場所にあって、要塞のように表を閉じているのは、残念だ。

サン・ドニのバジリカ聖堂もそうだが、聖母がイエスのために作って成長と共に大きくなったという縫い目のない衣を祀っている有名なアルジャントゥユの教会も、パリの北の郊外でムスリムの多い地区にあるので、ほとんど閉じられている。

歴史的にも文化的にも観光資源としても貴重なカトリック教会があちこちで孤島のように閉ざされているのは残念だ。

だからというわけではないが、このブログでは、次回から、少しずつ、聖母御出現について書いていこう。

私が聖母御出現やメッセージに興味を持ち始めたのは1980年代からで、その頃は御出現ラッシュという現象が現れたのと、いわゆる世紀末に向かって、終末論的な言辞が組み合わさっていた。

その意味をさぐりたかったのだが、21世紀も最初の10 年が過ぎた頃から、「世紀末」から距離ができて、ようやくいろいろなことが見え始めてきた。

特に、ルワンダのキベホにおける御出現とその顛末は、その後に続いた内戦の虐殺の凄惨さのことを思うと、いろいろ考えさせられる。

「終末論と聖母御出現」というシリーズにして少しずつまとめてみるつもりだ。
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by mariastella | 2011-11-01 10:01 | 雑感
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