L'art de croire             竹下節子ブログ

オノレ・フラゴナール

南仏のGrasseで買ったFragonardの香水を一つ持っている。
ネーミングで選んだ。
『BAROQUE』という。

このフラゴナールの家系のオノレ・フラゴナールが、パリ郊外にあるアルフォール獣医学校にある有名なミイラ騎馬像を作った人だとは知らなかった。

Arteのドキュメンタリーで、香水を調合している兄が、花の香りを「生命の香り」だと言って、弟の解剖する動物の死骸は腐敗臭しかない、と言う。すると弟は、それこそ生命の香りかもしれない、と言う。彼は解剖によって動物の生命の神秘に迫っているからだ。

騎馬像も、人と馬の筋肉を比較することと、その「標本」が「死」でfなくて「生命」を表わすための演出だった。

この人は、解剖と生命の仕組みの内部を再構成することに情熱を注いだ。最初はルイ15世下で王立の外科アカデミー、国家資産ともいえる馬のために設立された獣医学校での実技講義、やがてそこから追われて個人の博物コレクションであるcabinet de curiositésのための標本作り、さらに、フランス革命後に獣医学校の標本をはじめとしてフランス中の解剖標本の保存のアドヴァイザーなど、怒涛の18世紀を、ひたすら、解剖標本作りで駆け抜けたのだ。

後に盛んになるロウ細工の標本でもなく、ホルマリン漬けの病理標本でもなく、フラゴナールの仕事は、アートとまでは言えないとしても明らかに彼の「美意識」に貫かれていた。

こういう仕事が自由にできていたということから、当時のカトリックには「建前」主義はあっても「原理主義」はなかったのだなあ、とあらためて思う。
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by mariastella | 2011-12-19 01:15 | 雑感
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