L'art de croire             竹下節子ブログ

日本の聖母子像 - 浴室の聖母と西王母

この秋に日本で二つの印象的な聖母子像を見た。

一つは橋本明治の『浴室』。

国立劇場の2階には日本画の大家の作品がずらりと並んでいて、至近距離でもじっくり見ることができる。

その中のひとつで昭和27年の作。どの作品にも作者のコメントが付いているのはとても興味深い。
で、この作品には

「 浴室の母子像はかねてから一度、聖母を何らかの形で描いてみたいと思っていたことで、この作品ができたわけであります。母親の子供への愛情をポーズの上で強調しながら情緒的にならないよう苦心したつもりです。」

とあるのだ。

だから、明らかに聖母子像と言える。

橋本明治さんがキリスト教徒、カトリック信者だったのかどうかは知らない。

浴室の母子はもちろん裸で、床には赤と白のひし形のタイルの模様が奥から前に並び、後ろの壁には四角の白いタイルに八角の模様が入っていて真ん中に緑のひし形が離れて並んでいるかのようなモチーフの繰り返し。母子の肌色には同じ緑の影があり、その緑の影は赤と白の床にもおちている。
とてもきれいな色だ。
母子は茶色の髪で西洋風。聖母は片膝を立てて、床に立つ幼子をいつくしむように支えている。

もう一つは、大阪の南蛮文化館にあった『西王母』という聖母子像。

この聖母は観音菩薩風の装飾をつけていて、両脚は半跏思惟像のポーズなのだが、「浴室の聖母」と同じ立て膝に見えなくもない。

右手は親指と中指で印契を結びながら右脚に添えられ、左手で子供を支えている。

キリスト教文化の伝統があろうとなかろうと、最初に宣教師たちと接した日本人たちが聖母像に惹かれたように、聖母子(幼子とセットになった時、すぐに「母」と分かる)の姿は、日本人の感性にすんなり受け入れられてきたようだ。

日本に最初に入ってきたのが聖母子像なしのプロテスタントだったら、日本のキリシタンの歴史も変わっただろう。

南蛮文化館ではいろいろ考えさせられたので続きは次回に。
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by mariastella | 2012-12-05 23:46 | アート
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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