L'art de croire             竹下節子ブログ

リタイア表明したローマ法王

2月11日の夕方の公営ニュースは30分間も、ベネディクト6世(以下B6)の引退宣言の話ばかりだった。

メルケル首相がいち早くリスペクトのコメントを出したのも、ドイツ人教皇ならではだ。
といっても、B6が選出された時は喜びムードだったドイツだが、2010年にドイツのカトリック教会での小児愛スキャンダル封殺が発覚した時に、30万人もカトリック教会を離れた人がいたということだ。

このリタイア宣言は数人の枢機卿しか知らされていなかったらしく、ともかく驚きだった。

だれでも考えたのは、もうすぐ復活祭の四旬節に入るので、復活祭の聖週間には新しい教皇が選ばれているんだろうか、という計算だ。2月28日の20時に引退するということで、死亡による新教皇の選出ならば葬儀などで時間がとられるが、今回は今から準備できるので多分すべてがスムーズに行われるに違いない。

伝統主義者、保守主義者というイメージの強いB16だったが、最後に来て、教会法を覆す「自由な決断」をして、「先例」をつくったわけで、なかなかすがすがしい。

ジョークのギニョールでは、この突然のリタイア宣言に驚いたイエス・キリストが、「なんてことだ、私なんて、十字架でぼろぼろになって死んだが、たった3日の休みで仕事に復帰したぞ(復活)」と言っていた。

こういう地位に選ばれてついた人なら、どんな状態になっても死ぬまでがんばれということだ。

でも、JP2(ヨハネ=パウロ2世)の最後の日々は、かなり悲惨な状況だったけれど、それこそ、その苦しみをイエスに捧げるというか、殉教の姿を見せる、といわんばかりの凄まじさで、ヴァティカンはある意味で機能停止してしまっていた。

その姿を近くで見ていたB16だからこそ、今、自分もJP2の年を越えて、「引き時」だと決心したのだろう。

教皇の選挙権があるのが80歳以下の枢機卿(今回は117人)だというのも、80歳を超えれば判断能力を完全に保っていないリスクがあると見なされていることだし、心身ともに完全でなければ教皇の職を離れるべきだとB16自身が著書で書いている。

昨年のメキシコやキューバでヘの旅によってかなりのダメージを受けたとも言われるし、もともと頑健なタイプの人ではなかったらしい。

最近のヴァティリークスのスキャンダルで側近に「裏切られた」というショックもあった。

今でもヨーロッパ一のカトリック人口があるイタリア人の反応は、B16の英断をたたえるというものが多いらしく、むしろローマを訪ねていたフランス人などの反応の方が「見捨てられた」というショックや悲しみが見られたそうだ。矢張りイタリアの人はJP2の痛々しい姿を見せつけられてトラウマになっていたのかもしれない。

フランスでは、SNSで招集をかけて今夜教会に集まってB16のために祈るという小教区も少なくないようだ。

B16にはいろいろ批判もあったし、気の毒だったが、私は、ピアノに向かってモーツアルトを弾くために教皇の重い指輪をあっさりと外していた姿が好きだった。

つい最近、最初のツィートをクリックする姿もほほえましかった。

今まで何かというと対立するかのように扱われていたアガペーとエロスの垣根を取っ払うような姿勢も悪くなかった。

しかし、今や、キリスト教と言うと、中東やアフリカの一部の地域では最も迫害されている宗教でもあるし、ローマ・カトリックは12億人の大所帯なのだから、政治的判断だけでも半端ではないストレス、重圧がかかることはまちがいがない。

誰もが、今度は、若くて、新しい時代をつくる教皇の登場を期待している。

これから新教皇の誕生をウォッチして少しずつ書いていくことにします。


(B16が選出された頃と私が旧サイトをつくった時とがほぼ同じ時期だったので、彼のことは少しずつ書いていた。ここここなど参照。後はこのブログの宗教カテゴリーで。)
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by mariastella | 2013-02-12 08:06 | 宗教
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