L'art de croire             竹下節子ブログ

黒人法王の最右翼

黒人法王の候補ということで選挙ポスターのパロディまでローマの町に貼られたのはガーナのピーター・タ―クソン枢機卿だ。

名前からしてもろアングロ・サクソンっぽいが、ガーナはもと英領で今もイギリス連邦加盟国。国歌はGod bless our homeland Ghanaで、神の祝福あれ、というアメリカン・テイスト。

タ―クソンは1948年生まれなので、日本なら団塊の世代の真っただ中、ついにそういう世代がローマ法王候補なのか、と感慨も覚えるが、実は2005年のコンクラーベでもすでに名前が挙がっていた。

今回の予想ではヨーロッパ教皇が半数以上だが、アフリカはラテンアメリカを抜いて賭け率が高いらしい。

問題は、前にも書いたが、彼らはなんだか一昔前のカトリックという感じで、大戦を生き延びて第二ヴァティカン公会議での改革を情熱的に進めた今80代のヨーロッパ系聖職者たちよりもむしろ保守的だということだ。

タ―クソンなどは、ヨーロッパがイスラム化することをえらく警戒していて、40年後のフランスはイスラム共和国だ、移民を規制しろなどと言っているし、アフリカは伝統的に同性愛を許容しないから小児性的虐待からも免れている、と同性愛と小児性愛を混同するような意見も発している。

こういう人が教皇になったりしたら、よほど聖霊が降りてきて回心がない限り、今の世の中でキリスト教の統合に向かったり他宗教や無宗教と連帯していくことは難しいのではないだろうか。

ちなみに「アフリカ出身の教皇」ということでは5世紀あたりに3人ほど出ているがみな白人に近いベルベル人である。コプトの主教はもちろんほとんどエジプト人だし、もともと北アフリカはキリスト教の揺籃の地の版図内だったのだが、イスラム教に征服されてからはすっかりイスラム化して、再キリスト教化はその後の「西洋植民地政策」とセットになってしまったという複雑な経緯があるのだ。

ガーナやナイジェリアのようなブラック・アフリカからの教皇が生まれるとしたら革新的なことではあるのだが、そういう地域出身で枢機卿の地位に昇り詰めるような人は結構保守的だったりするのは、男社会でトップに上り詰めた女性が封建的男のような態度を継承することがあるのと似ているかもしれない。
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by mariastella | 2013-03-07 23:55 | 宗教
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