L'art de croire             竹下節子ブログ

コンクラーベ(教皇選)の日程が決まった

コンクラーベは3月12日の火曜に始まることになった。

ニュースで真っ先に報道されていた。

ローマには世界中から来た報道陣がいっぱいだ。

コンクラーベの日取りがなかなか決まらないのはヴァティカンの秘密や腐敗を探られないように早く次の教皇を選出してしまおうというイタリア人枢機卿(今も最大多数派である)たちと、じっくりと考えたいという他の国からかけつけた枢機卿たちとがまっぷたつに敵対しているからだという噂が流れていた。

噂の出所はもちろんイタリアの新聞だ。

ところが、4日から始まった枢機卿会議は、コンクラーベと違って枢機卿たちとメディアの接触を禁止するものではないから、権力争いから距離を置いた形でしかもオブザーバーとして確かな位置にあるフランス人枢機卿などは自由に内情を語っているので、対立などはなくいい雰囲気だということが伝わってきていた。

これまでのコンクラーベと違って前教皇の死と葬儀などにまつわる儀礼や外交などのプレッシャーがない分、はじめてみながゆとりを持ってことにあたっているというのである。

多分それはほんとうだと思う。

なぜなら、そう語るフランス人枢機卿たちはそういう場面で体面を取り繕うようなタイプでも立場でもないからだ。

反対に、イタリアのメディアが法王庁のスキャンダルだの陰謀だのを誇張して書きたてるのはほぼ伝統というか文化というか、話半分に聞いてちょうどいいようなものだからだ。

法王庁のおひざ元のイタリアのメディアが言うのだから信憑性があるだろうなどと思ってはいけない。

そういうことにすぐ乗ってしまうのはアメリカのある種のメディアか、それをまた訳してしまう日本のメディアやネットユーザーくらいだ。

たとえば日本の皇室に対する日本のメディアの姿勢と、イギリスの王室に対する英国のメディアの姿勢が全く違っていて、日本ではあり得ないようなことが展開されることは日本人なら知っている。

同様に、イタリアだからメディアもさぞローマ法王に敬意を抱いているだろうと思うのは間違いで、イタリアの一般メディアは、歴史の経緯もあるが、一番の理由は、法王庁のゴシップやスキャンダルの方が「売れる」からこそ書きたてているだけなのだ。

だからそういうことをさしひいて冷静に見れば、今回のように落ち着いて後継教皇に必要なプロフィールについて枢機卿たちがじっくり話しあえているというのは理解もできるしさもありなんとも思う。

先代による後継者の指名もなく、自薦も立候補もなく、ただ、同じ立場の同僚から選ばれるという不思議民主主義だし、ヴァティカンという小さくて大きな国を統治しながら世界の12億の信者の霊的なリーダーでもあるという逆説的な資質を備えている人などは決して多くないだろう。

今の時点では、もっとも有力視されているのがイタリアのスコラとカナダのウェレットだが、この二人が拮抗し過ぎるとかえって別の人に有利になると言われていて、小児性愛のスキャンダルで勇気を見せたアメリカのオマリー、ハンガリーのErdö、法王庁に強いアルゼンティンのサンドり、司牧経験に富むブラジルのScherer、メディアに強いイタリアのラヴァシ、カリスマ性のあるフィリィピンのTagleなどの名が挙がっているが全くのアウトサイダーが出てこないとも限らない。

枢機卿会議には200人以上の枢機卿がつめていて、コンクラーベでシスティナ礼拝堂に閉じこもるのは選挙権と被選挙権のある80歳未満の115人である。

最初は66カ国117人のはずだったのだが、スコットランドの枢機卿が辞任し、ジャカルタの枢機卿が病気のために不参加を表明した。ドイツの枢機卿の1人Walter Kasper は3月5日に80歳になったが、教皇が空位になった時点で79歳だったので選挙権がある。

で、64カ国115人の枢機卿ということになる。

3月9日の読売新聞の夕刊に教皇が変わることについての記事を書いたのだが、ぎりぎりまでリストをながめながら国や数をチェックしなければならなかった。

枢機卿たちはこの土曜や来週の月曜にもまだ集まるだろうし、日曜日にはひたすら祈る人も多いだろう。水曜か木曜には新教皇が生まれている可能性が高い。

楽しみだ。
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by mariastella | 2013-03-09 07:44 | 宗教
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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