新教皇が選出されてから1ヶ月経った。
フランスでは新教皇の伝記が2冊、著書が2冊出版されたところだ。
12日には、ようやく、ヴァティカンの政府改革のために8人の枢機卿が選ばれたことが発表された。
ヨーロッパ人2人(イタリアとドイツ)、
南米2人(チリとホンジュラス)、
米国のオマリー(ボストン大司教でカプチン会)、
アジアはインドからボンベイのグラシアス大司教(この人、確かガン闘病中ではなかったか)、
アフリカはコンゴから、
最後はオーストラリアからだ。
まとめ役はホンジュラスのマラディアガさんで、
この人のことは前に書いたことがある。
楽器奏者で、9カ国語を話す。
彼の下にもう一人イタリア人枢機卿が秘書につく。
このグループは教皇を支えるアドバイザーともなり、ヨハネ・パウロ二世が1988年に発布した教皇庁の運営に関する法律を再検討する。
といっても、世界中に散らばってもいる彼らが一堂に会する最初の会議は10月のはじめ(1-3日)だというのだから、普通の国の感覚では気の長い話だ。
それまでにいろいろなことが準備されるのだろうけれど。
世界最小国の政府のトランス・ナショナルのスケールの大きさは、さすがだとも言える。
誰を新しい国務長官に任命するのかということよりも、教皇は、最初から口にしていたように枢機卿たちの協働体制をつくる方向へとスタートしたわけである。
一方で、リタイアしたベネディクト16世(B16)の体調がよくないというニュースもあった。10年前にペースメーカーを入れていて、その取り換え手術が昨年12月だったという話もある。目にも問題があるらしいし、衰弱が激しいそうだ。
これからは静かに祈りと執筆の生活に入るのかと思っていたが、本当に体力の限界だったのかもしれない。
今回選ばれた教皇補佐枢機卿の一人であるドイツのラインハルト・マルクスは、B 16が枢機卿に任命した人でまだ59歳と若手で、そのモットーは「主の聖霊のあるところに自由あり」(Ubi spiritus Domini ibi libertas 2コリント3-17)だそうだ。
この人がこのメンバーに入ったということがB16の希望をつなぐような気がする。