6月17日、フランスの毎年の風物詩であるバカロレア(中等教育修了国家試験)が始まった。
初日はいつもフランスの語自慢の「哲学」で、与えられたテーマからひとつを選んで4時間かけて論を展開するものだ。
そのテーマの一つに
「労働は自己意識の確立に寄与するか ?」
というのがあった。
時事一コママンガ家のChimulusが早速ネットで揶揄していた。
このテーマについて、
「君たちのパパやママなら君たちになんと答えるかね」
と聞かれた高校生が、
「自分たちは失業中だという意識はもう持っている、って言うと思います」
と答えるのだ。
社会全体で失業率が高まるばかりのフランスで、ましてやバカロレアに受かろうが、大学を出ようがその先の就職の見通しが最も厳しい世代である若者たちにこんな問いをたてるなんて、出題する哲学教師たちってどこまで社会の空気を読めないのだろう。(哲学の教授資格を持っているようなリセの哲学教師たちはもちろん公務員でもあり、失業とは縁がないから仕方がないのかもしれないが。)
このウェブ・マンガのコメント欄に
「人は仕事を欲しいんじゃなくて金が欲しいんだよ」
というのがあったのも、半分しか笑えない。