L'art de croire             竹下節子ブログ

ヨハネ=パウロ二世スピード列聖なるか

2011年の5月1日に福者の列に加えられたばかりのヨハネ=パウロ二世(以下JP2)がもう1段階ステップアップして聖人の列に加わりそうだ。

列聖には列福後に起こった新しい「奇跡」が必要なのだが、これ以上ないスピードで、つまり、列福式の日の夕方に、コスタリカの女性の脳損傷が説明不可能な状況で治癒を得たというものが採用されそうだ。

この1月に正式に申請されたものを、列聖に関わる7人の医者からなる委員会がその「治癒の現代の医学でによる説明不可能性」を4月13日に認定した。

さらに神学者の委員会によるチェックが入り、この治癒によって女性の家族がみな信仰の道に戻ったということで、「奇跡」が6月18日に認定された。

これがさらに、7月2日に担当の司教や枢機卿によって批准されれば、ようやくフランシスコ教皇が許可して、列聖式の日程を発表する。

2013年の10月20日(JP2の祝日の前々日)や11月24日(信仰年の最期の日)や2014年4月27日(2000年にJP2がポーランドの修道女にちなんで設定した神の憐れみの祝日)などが、列聖式の候補としてすでに噂に上っている。

クラコヴィ大司教(JP2の特設秘書だった)は6月15日に教皇と会見した後で10月の列聖式を期待するとコメントした。

普通は亡くなってから5年は列福手続きが始まらないのだが、JP2に関してはベネディクト16世が例外を認めたので一ヶ月後という早さだった。

列福手続きの開始が早まった理由は、葬儀の時に人々が「SANTO SUBITO」(直ちに列聖を)と訴えたのを、中世以来の« Vox populi, Vox Dei 》(民衆の声は神の声)という伝統によって取り上げられたからだと言われている。

結局亡くなってから8年というスピード列聖で、列福から列聖までが3年未満というのも、パードレ・ピオ(列福1999/5、列聖2002/6)の記録を破ることになる。

いつもながら列福や列聖にまつわるカトリック教会の手続きは、厳密なのかフォークロリックなのか、近代的なのかアナクロニックなのか、民主的なのか聖霊による親政なのかよく分からないのがおもしろい。

「民衆の声は神の声」というのもある意味ですごいし、内部での反対派の声もちゃんと聞こえてくるところもすごい。

JP2の列福に反対する聖職者による七つの理由も公開されているのだ(2007年10月にスペインのイエズス会士Jose Maria Castillo やイタリアの Giovanni Franzoniらが、JP 2による避妊や教会における女性の役割へのコメント、小児愛スキャンダルへの対応の遅さ、多くの神学者を糾弾したこと、Banco Ambrosianoとの関係の不透明性などを挙げた)。

列福にあたって認定された奇跡は、亡くなって二カ月後に起こった、フランス人の修道女のパーキンソン病の突然治癒だった。

今回の治癒の詳細はまだ分からないけれど、列福式の日のように、多くの人がカリスマ性のあった教皇に頼り祈って盛り上がったその日に、全員のサイコ・エネルギーのようなものがどこかである人に奇跡の治癒をもたらしたとしても不思議な感じはしない。

変なたとえだが、宝くじを買う人は、たいていはまさか自分に当たるとは思っていないがみなささやかな希望を託して賞金の一部に寄与しているわけで、誰かがそれを獲得するということ自体は疑いがない。

逆に言えば、たとえば保険の積立だって、自分がそれに該当しませんようにと願いながら、該当した人の得る保険金の一部を払い続けているわけだ。

私は自分の病気だの故障だのが「奇跡の治癒」という恩恵を受けるだろうとはつゆほども思っていないが、数多くの人が祈ることでどこかの誰かの「奇跡」に寄与できるかもしれない、という考えは悪くないと思う。

自分には当たらないと信じている宝くじを買うよりは、どこかで誰かを救う奇跡を願って祈る方が精神衛生にいい。
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by mariastella | 2013-06-22 01:16 | 宗教
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