L'art de croire             竹下節子ブログ

リシュリューの猫 その1

「差別されているマイノリティまたは社会的弱者が個別にロビー活動したり個別に支援されたりするとかえって全体の状況を悪くするんじゃないか」という日頃考えているテーマをめぐって黒人奴隷制についてまた書こうと思っている。でもまとまった時間がとれないので、その前に、「リシュリューの猫」シリーズを少し。

ルイ13世の宰相だったリシュリューの猫好きは有名で絵もたくさん残っている。(うまくリンクできない時は出てきたページの右上の検索アイコンをクリックしてください)。

女好きでもあったらしくて、連れ添った姪との間に数人の子供がいたとも言われているが、表向きはカトリック教会の司教で枢機卿(ちゃんと神学部で勉強もした)だから後継ぎはいないので猫たちに財産を残したという話もある。

ルーブルの前に構えた住居だったパレ・カルディナル(枢機卿宮)は王室に寄付されて今のパレ・ロワイヤルになったし。

で、猫。

王立図書館の本をネズミから守るために導入したとも言われる。

14匹の愛猫の記録が残る。

まずFélimareくんとLuciferくん。

フェリマールくんは雄のトラ猫。

FéliはFélin(猫科の動物)から来ているのだろうし、Mareはmarreと通じ、今でもmarrant(おもしろい、あるいは反語的につまらない)などと言えるのだが、それよりも、tintamarre(大騒ぎ、騒音。シャリヴァリなどと同義。オノマトペ。鐘や太鼓をみだりに叩くイメージ)を連想する。
そういえば、リシュリューがアカディーと名付けたカナダのフランス人植民者の子孫の間には今もタンタマールというお祭りがあるそうだ。そこから連想すると、いつもギャーギャーとやかましい猫が想像できる。

ルシフェールくんは黒猫。

これはそのまんま悪魔のイメージか。リシュリューは魔女とか魔女の化身の黒猫を粛清している。
でも自分ちの黒猫の、輝くビロードのような毛並みを愛撫してはその妖しい美しさに感嘆していたのだろう。リュシフェールの語源は「光を運ぶ者」で、キリスト教文化では神に反抗した堕天使からついにはサタンと同義にまでなってしまった。
黒猫の毛の艶にしかキャッチできない光沢は特別だし、黒い頭の中で光るグリーンや金色の目の美しさも特別なので、枢機卿さまも悪魔に魂を奪われそうになったかもしれない。
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by mariastella | 2013-08-14 23:20 |
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