L'art de croire             竹下節子ブログ

ミミ・マーティの話

ミミ・マーティというのは人気投票をしたらフランスで一、二を競うコメディアンでユモリストのタレントだ。

私はこれまであまり興味がなかった。それでも『守護天使ジョゼフィーヌ』という有名なテレビ番組は一度みたことがある(ギターの生徒のおとうさんがこの番組のプロデューサーだった)。

彼女はいわゆる小人症であり身長が132cmで独特の風貌もあるのだけれど、明るくて頼りになるエネルギッシュな姐御のようなキャラで好かれている。

その彼女がラジオで話しているのを聞いてへえーっと思った。

彼女がこんなにポジティヴにやっていけたのは、落ち込んでいた時に、おかあさんが、

「あなたがみんなと違っているんじゃないのよ、みんながあなたと違っているだけよ」

と言ってくれたことで気持ちの持ち方が変わったからだそうだ。

含蓄がある言葉だ。

「私はみなと違っている」

と言えばその「みんな」がまるで一枚岩のようで自分だけ規格外れのような気になるが、

「みなが私と違っている」と言えば、違い方もいろいろあって多様性があるのだと感じさせられる。

「足らないものを欲しがるよりあるものをもって前に進むのよ」

と母親に後押しをされて、芸能の道に進んだ。

それでも、そのお母さんは、彼女が12歳の時にルルドに連れて行ったのだそうだ。

彼女の小人症は治療のできない染色体異常の骨形成不全なのに、母親はやはり娘の奇跡の治癒を願ってルルドに巡礼に行ったのだろう。

で、彼女の背が伸びることはなかったのだけれど、やはり奇跡は起こった。

その後の彼女が前向きに生きてフランス一の人気タレントになれたのだから、それが奇跡だったのだと彼女は言う。

祈りの聞き届けられ方を決めるのは、祈る側ではないのだ。

10年前、45歳の時のステージで、ある夜、いつものように最前列に座っている観客の一人に舞台に上がってもらった。

その人がすごくユニークで、彼につられてミミ・マーティは今までにない芸を繰り出してしまった。

その人は料理人で、その夜以来二人は離れたことがなく、結婚した。

「うちは全く普通じゃないカップルなんですよ。」

とミミ・マーティは言う。

「まず、異性愛の夫婦だし(フランスで最近同性婚が合法化されたばかりなのを受けている)、私には髪があるのに彼には髪がない、45歳で結婚したのに子供が4人 !(結婚相手は4人の子持ちだったのだ)」

笑えた。

いろいろと、いい話だなあと思った。

彼女の人気の理由が分かった気がする。
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by mariastella | 2013-10-13 07:06 | 雑感
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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