L'art de croire             竹下節子ブログ

韓国訪問のローマ法王

今フランシスコ教皇が韓国を訪問中だ。

彼のスケジュールで一国に5日間というのは例外的に長い。

韓国はパーセンテージにしたらキリスト教が30%で最大宗教なんだそうだ。

カトリックは12%だが、同一首長を仰ぐ宗派としてはこれも最大級だろう。

で、このところフランスのカトリック関係の雑誌にも韓国特集があって、教皇がヴァティカンで元従軍慰安婦を謁見して慰めている写真などが載っていて、日本人としてはなんだか複雑な気がしていた。

8/14の到着時も、韓国の朴大統領が満面の笑みで迎えたのが報道されている。

まあ、教皇が「元従軍慰安婦」をいたわるのはある意味当然だろう。

なぜなら、彼女らは教皇よりもかなり年配の老婦人ばかりで、「従軍慰安婦」だったのかどうかは別にしても、その世代の女性が第二次大戦や朝鮮戦争で十分苦しんできたことは事実だから、「弱者に仕える」のは教皇としてまっとうなことだからだ。

韓国には過去に反日イデオロギーむき出しの枢機卿もいたようだけれど、日本のカトリック教会と親しくつき合う高位聖職者も少なくないし、「秋田の聖母」への巡礼熱もすごかったし、長崎のコルベ神父記念館にも訪れる。日本のカトリック信者は0,4% というマイノリティだけれど、少なくともその部分とは十分連帯が感じられる。同系の修道会同士のつながりはもちろん強い。

教皇は今回、特に若い世代の信者に対して平和を訴えようとしている。

少なくとも、フランスのメディアのインタビューを受けた若いキリスト者や神学生たちはイデオロギー的でないし、平和や友好や赦しや連帯についてとても頼もしい健全な考えを披露している。

そういう若者たちが中心になって東アジアの真の平和に貢献してほしい。

フランシスコ教皇になってから中国の天主教愛国会とも歩み寄りが進み、地下に潜っているカトリック信者もフランスでひそかに神学生になるなど、国際的に活躍している(私はもうかなり前にフランスのカトリック雑誌のためにそういう中国の青年の一人と対談のようなものをしたことがある)。

北朝鮮にも表向きには、ともかくカトリック教会がちゃんと存在している。

これらの国の若いカトリック信者たちが、普遍主義、平和主義で連帯できるとすれば、共産圏の中のカトリック国だったポーランドやハンガリーから鉄のカーテンがほころびだしたように、将来に希望をつなげるかもしれない。

カトリックのネットワークというのは表に出ない部分も濃密で末端までつながっているから、これまでにもいろいろな役割を果たしてきたはずだ。

今回の訪問で教皇は南北朝鮮の統一と平和について強調するようだが、セウォル号の沈没事故の時も厳しい言葉を発したように、「迎合する」というようなタイプでは全くない。

ヴァティカン市国としての地政学的に特殊な立ち位置からしても、政権の死守とか選挙対策とか他国とのパワーポリティクスの駆け引きとかとも全く関係がないので、政治生命やら他国からの経済制裁などを心配せずに平和や弱者救済のための不都合な「正論」でも堂々と口にできる世界でただ一人の国家元首だ。

韓国の国会議員の20%がカトリックで、朴大統領自身も洗礼を受けていて、中高と聖心ミッションスクールで、大学もソウルのイエズス会系ソガン大学で学んでいる。

教皇のインパクトは大きい。

キリスト教やカトリックを無視できない韓国のような国でこそ、教皇の正論の力が発揮されることを願うばかりだ。
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by mariastella | 2014-08-15 07:24 | 宗教
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