L'art de croire             竹下節子ブログ

ジェブ・ブッシュとコロンブス騎士団

アメリカの共和党の次の大統領候補にジェブ・ブッシュの名が挙がってきておもしろくなった。

フロリダ州知事だったこの人のことを、私は中公文庫版『ローマ法王』の後書きで、ベネディクト一六世の就任ミサに出たと書いた。

白いフリーメイスンと呼ばれる白鳩騎士団のメンバーだと。

あの訳はまずかった。「コロンブス騎士団」に訂正する。

1881年にコネチカットのニュー・ヘヴンのセント・メアリー教会で、アイルランドから来たカトリック司祭によって立ち上げられた。

コロンブスというのはアメリカ発見のコロンブスで、当時カトリックが冷遇されていたので、コロンブスもカトリックだったと強調したくて名をつけたらしい。

コロンブスという名そのものは、「コロンボ」もそうだが「白鳩」に由来していて、白鳩は「聖霊」のシンボルでもあるから、白鳩騎士団と訳してしまったのだ。(今でもその方が素敵な名前だと思うけれど。)

で、バリバリのWASPのブッシュ一家の次男坊であるジェブは、若い時にメキシコに行って今の奥さんと出会い、一九九五年にローマ・カトリックに改宗した。

スペイン語もぺらぺらだという。

フランシスコ教皇が選出された時も「最初の南アメリカ教皇」の選出は素晴らしいニュースだとツイッターしていた。この教皇とならスペイン語でも話せるわけだ。

こういう写真があって、ヴァティカンのベルトーネ国務長官がヴァティカン旗とメキシコの旗を掲げている

フロリダで行われたコロンブス騎士団の大会で、知事で第四グレード騎士のジェブ・ブッシュももちろん参加していた。メキシコからの移民を排除するのはおかしい、もともとそこはメキシコ人の土地だった、という感じの運動を反映したものだ。 

ジョージ・兄ブッシュの評判はイラクの情勢のせいで今最悪だから、兄との差異性を強調するためにもカトリック風味は大切になるかもしれない。前回のロムニーはモルモン教でさすがに無理があったかもしれないけれど。

コロンブス騎士団は保険業で莫大な富を築いたと言われている。

そういえば、コロンブス騎士団との関係は確認できなかったけれど、やはり保険業で大富豪になったというアメリカ人と結婚しているイタリア女性が、ランペドゥーサでの法王の呼びかけ(前に書いたことがある)に応えて、8億円も投じて無人機を飛ばせる救助艇と二人のリモート・パイロットをアメリカで用意し、医療スタッフも常駐させて、難破する不法移民の救助に乗り出した。救済される難民には子供も少なくなく、臨月の妊婦もいて、救助艦では分娩もできるようになっている。このアメリカ人Catrambone夫妻はマルタ島に居を構えて、Migrant Offshore Aid Station (MOAS)と名づけられた船で娘と共に60日間のミッションに出発した。

ランペドゥーサの市長も難民保護に必死に頑張っている。

だからと言って、それらの難民を次々と受け入れる予算などどの国にもない、余計なことをしてもらっては困る、という政治家ももちろんいて、EUレベルでも、難破する移民の積極的救済は「吸い取り機」みたいなもので、さらに多くの難民を引き寄せるばかりだ、などとはっきり言ってしまう人もいる。

すごい数の難民が命をかけて西アフリカやシリアから流れ着く。

彼らを放置するのは「恥」だとローマ法王が檄をとばし、それに応えて海に乗り出すカトリックの富豪がいる。

ちゃんと実行する人がいるところがすごい。

敵対するマフィアのグループに子供たちまで取り込まれるラテン・アメリカから必死になってアメリカに亡命しようとしてメキシコまでたどり着いた後で国境で阻まれる少年たちのドキュメンタリーを最近見た。

ジェブ・ブッシュはどういう移民政策をとるのだろうか。

「個別の救済」にはなっても「問題の解決」にはならない。根本的な方向転換が必要だ。

それについて考えていることもあるのだけれどまた次の機会に書く。
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by mariastella | 2014-09-21 02:38 | 雑感
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