L'art de croire             竹下節子ブログ

よかったこと その1 ピエール・ローランが元老院で言ったこと

「イスラム国(こういうと国家があるように誤解されたりムスリム全体にも誤解を招いたりするので今は政府の声明や報道などでは略語から来たダーイシュが使われるようになった)」の脅威、環境破壊、地球規模の貧富の差の拡大、など、考え始めると暗澹とするテーマばかりで暗くなるので、最近嬉しくなった2人の論客について書こう。

アメリカがテロリストに「宣戦布告」し、フランスも同調して空爆を一度やったらフランス人観光客がアルジェリアで殺されたのでさらに戦闘強化を決意した後、2003年にアメリカ追随したイラク派兵が間違っていたと「反省」して迷っていたイギリスもそれに加わることをやっと決めた。

中近東のイスラム諸国も同盟しているという形をとっているが、国連などは完全に無力化の状態。

2002年の国連で堂々とアメリカのイラク侵攻に反対したフランスはなかなか気に入っていたのに、その後は右も左も、サルコジ、オランドと、NATOには復帰するし、アメリカに尻尾をふるし、「独立の心意気?」を見せたのは、サルコジが単独でリビア空爆を始めたりオランドが単独でマリに軍事介入したりする「アフリカの守護者」気取りにおいてだけ。

そんな絶望的な中でも、よく見ると正論を言い続けている人もいて、カトリック陣営だったり、極左だったりもう有名無実かと思っていた共産党だったりして、それを互いに認め合っているのもおもしろい。

以下にコピーした共産党のピエール・ローランが24日に元老院で行った演説は、カトリック系ブログで見つけたものだ

読んでいてすっきりしたので試訳を載せておく。

「サルコジの自由主義アメリカ偶像崇拝に捕らわれた自由主義保守派も、オランドの「政治的公正」に捕らわれた自由主義左翼も、嘗てフランスが今より強いわけではなかった時(2002-2003年が念頭にある)にそうであった自由電子(ポテンシャルがゼロで何ら束縛を受けていない電子)の役割を取り戻そうなどと今では思いもつかないだろう。(…)

ヴァルス首相が「致命的危機」「世界のセキュリティ」「価値観)などの言葉で議論を抑え込もうとする時、François Asensi(左翼戦線党)は、「国連の安全保障理事会がこれをもう一度扱うべきだ、それなしにはパリは、アメリカ政治の「アフターサービス」に巻き込まれることになる(…)、NATO支持派の逸脱が我々の外交方針に進出し続けている」と発言した。

元老院では共産党のピエール・ローランがこう発言した。

「アメリカ主導で展開された『テロリストとの戦争』が10年間混乱を拡大した後で、我々は教訓を得なければならない。すなわち、ジハディストのグルーブとの戦いが、彼らが成立することになった原因に向かわない限り、目的は果たされないと言うことである。

『テロリストとの戦争』には4兆ドルが掛けられた。

その結果は?

ジハディストのグループは1から14に増えた。

これらの軍事介入はすべて災禍を増やすものとなり、人々をさらに屈辱と悲惨に追い込み、テロリストのグループを強化することになったと正直に認めようではないか。(…)

問題は、行動すべきかどうかではない。もちろん行動しなければならない。

しかし、真の問題は、誰とどのようにしてこの蛮行をやめさせるのかということだ。

悪の根源を叩き、都合のいい時にはジハディストのグループを武器と物と人において支援してきたNATOに属する国家や同盟国の責任が問われなければならない。現時点において「イスラム国」が支配した油田から石油を買っている者の責任を問わねばならない。

(…)さらに、フランスがNATOの内部で、トルコや湾岸諸国のようなこの地域(中東)の強国を武器の販売相手として築いている密接な関係について議論しなくてはならない。

この現実に目をつぶったままでいられるものだろうか? 

テロリストたちを支援したこれらの強国が今は彼らと戦うと言うことにどれだけ信頼がおけるのだろうか?

シリア国内のクルドに対する「イスラム国」の介入に便宜をはかりつつ二枚舌を使うトルコのような同盟国をどうやって信頼できるのだろうか?

それでは、戦争の真の目的は何であるべきか。

それについてこそ議論を重ねなければならない。

アメリカは戦いが少なくとも3年と長引くだろう、と言った。

フランスも同じ年数を想定しているのか?
そしてその後は?

我々にはNATOが政治的解決をもたないこと、NATOとその覇権的戦略こそが問題の一部であることが分かっている。

ではフランスのとる戦略は? 

短期的、長期的な政治的落としどころは?

その政治的解決は中東地域のすべての国や権力者との不可避な対話を通してしかあり得ないのではないか?(…)

悪の根源を叩くというのは、我々が、国際秩序の保証人と自称する少数の欧米国のうぬぼれと共に(中東に)介入し続ける枠組み自体を解体することでもある。

他の選択肢が必要だ。

貧困を根絶し、健康、教育、住居、雇用、麻薬密売禁止などすべての分野におけるセキュリティの確立を目的とする、全体の発展と協働と連帯に基づいた別の政策が必要だ。(…)

国際法と地球のすべての国家の主権に基づく唯一の多極的枠組み(国連)を棄てることはアメリカに率いられたNATOの役割増大に利するばかりであり、冷戦終結後に犯された最大の過ちのひとつである。

フランスは自分の世界観を再び築くべきであり、NATO列車にしがみつくのをやめるべきである。

フランスの対外政策についての徹底的討論を両院において組織するよう願い、呼びかける。」



以上がピエール・ローランの発言要旨とそれを転載したブログの試訳だ。

2002-2003年にかけてのフランスの立場を支持してきた私にとって久しぶりに耳にした正論だったので、ここに紹介しておくことにした。

自由電子のたとえもおもしろい。フランスはそういうレッテルを大事にすべきだった。

長くなったので、私の心を少し明るくしてくれたもう一人の人物ジェレミー・リフキンについてはこの次に。
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by mariastella | 2014-09-27 20:21 | フランス
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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