L'art de croire             竹下節子ブログ

『日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか 』(矢部宏治)

今いろいろ取り込み中で本を読んだりブログを書いたりしている暇がないのだけれど、ついウェブで「立ち読み」してしまった『日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか (矢部宏治)』(集英社インターナショナル)の最初の2章であらためていろいろなことにショックを受けた。

ここに紹介されている平井憲夫さんの手記はかなり前に読んでいて、すでにショックだったけれど、この本で明快に書かれている日本の司法システムを見ていると、今の憲法のままでは、行政の違憲性をチェックするシステムがもはやなくなっていることがよくわかる。

憲法をもう一度各種条約の高位におけるような形で改憲するような方法はあるのだろうか。

私の高校生の頃の佐世保エンタープライズ寄港事件のことを思い出してしまった。
あれはいったいなんだったんだろう、と思うと、胸がふさがる。

原子力空母のような大型船だから「目立った」だけで、軍機が自由に行き来する基地ではすでに何でもありだったのだろうなあ、と思う。

フランスでは、代理母問題をめぐって大規模デモがあったばかりで、首相が、フランスは家族や命の価値を尊重する、命の商業化はしない、みたいなことを言っている。けれど、実はこれも、国内法より高位にあると言われるEU法廷によって、ついこの前、アメリカで代理母によって生まれて連れ帰られた子供に国籍を与えるべきだと言われてフランスが折れた事件があった。本当に代理母出産を認めたくないなら控訴すべきなのに前例を作ってしまったのだから、首相の言うことは信じられないと怒る人々がいるのはもっともだ。

彼らは、フランスに来た子供は他のすべての外国人の子供を含む子供たちと同様に保護されるべきで、健康と安全と教育と、フランス国籍を取得する可能性を与えればいいのだという。

生まれて存在する子供は守るべきだが、まだ存在しない子供を、子供のためではなく自分のために「買う」ことができるシステムを認めるべきではない、と。

代理母が身ごもった子供に障害があった時に引き取りを拒否することの是非やそのための保険金のシステムもある。そのことも問題になっている。

この問題についてはここで私見を述べるつもりはないのだが、日米協定だけではなく、フランスとEUの間にもそのような問題が山積みしていることもあらためて考えさせられた。

またこの本では「外国の軍事基地があるのは独立国ではない」、とあっさり言っているが、ヨーロッパにいるとNATO軍と称していろいろな形での軍事基地があるし、敗戦国だったイタリアやドイツにはもちろん、「連合国」入りしたサウジアラビアにだって米軍基地があった。
カタールにはフランス軍基地もあるし、クリミア半島にもロシア軍基地があったわけだし、冷戦終焉や国境のない「テロリストとの戦い」のために米軍基地の編成はいろいろと変わっている。

フランスにいる方がテロリズムの脅威は大きいし、核保有国だし原子力発電大国でもあるので、日本よりましだなどとはまったく言えないのだけれど、原子力と安全保障について「自分の頭で考える」ことを封じられているかのような日本の状態は別の根源的な危うさがあるような気がする。

でもこういう本を発売前にウェブで「立ち読み」できてしまう時代はありがたい。
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by mariastella | 2014-10-07 00:37 | 雑感
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