L'art de croire             竹下節子ブログ

オランド大統領がプーチン大統領と会ったこと

12月6 日、フランスのオランド大統領がカザキフスタンを訪問した後1時間ほど足を延ばしてモスクワに行き、空港でプーチン大統領と会談した。

プーチンと会談するためにカザキフスタン訪問をアレンジしたのではないかと誰もが思っている。

8カ月で4300人以上の死者を出したウクライナ危機が始まって以来、モスクワでプーチンと会った「欧米」唯一の元首だ。すごい。

グルジア危機の時にサルコジ大統領も颯爽と出かけて最悪の事態を回避したことがある。
サルコジはリビアに攻め込んだし、オランダもマリに兵を出したし、フランス大統領が「アフリカの警察」さながらに軍隊を派遣するのは苦々しい限りで、近頃はオランドの顔を見るのもうんざりしていたのだが、今回のスタンドプレーには感心した。

フランスは経済システムの「自新由主義的な改革(規制緩和というやつだ)」が遅れていると、ユーロ圏の優等生ドイツのメルケル首相から近頃名指しで糾弾されている。

そのメルケル首相は旧共産圏の東ドイツ出身だからかロシア語がしゃべれて、プーチン大統領もドイツ語が話せる。で、二人は直接会話ができて、ドイツとロシアの経済関係も緊密だったし、政治的にもけっこう歩調を合わせていた。そのメルケル首相もウクライナ問題では、オバマ大統領に同調してロシア糾弾で硬化したままだ。

そんな時に、オランドが、軍艦売りたさ(ロシアから発注されたミストラルの配達を現在ストップしている)の一心かもしれないが、アメリカとドイツを尻目に堂々とプーチンを呼び出して会談してしまった。

日本の首相なら考えられない。

うーん、こういう時、フランスが第二次大戦の時に米ソと共にちゃっかり「連合軍」側としてドイツに勝利したという歴史が関係してくるのかなあ、と思う。

オランドは、(ベルリンの壁のような)壁が我々を隔てるのは避けなくてはならない、障害を乗り越えて解決をみつけるべきだ、解決を共に見つけよう、きっかけをつかむ時期はあるものだ、と言い、プーチンも「我々の会談はポジティヴな結果を生むと信じる」と答えたらしい。

なんにしろ、あらゆる紛争には、示威行為や軍事衝突の前に「話し合い」があるべきで、こういうことをできてしまうフランスのような国があって、経済成長だとか何とかいうのとは別の次元でそれを許してしまう複合的なヨーロッパのような地域があってよかったと思う。

ヨーロッパはいろいろな意味で満身創痍でもあり、そんな折、ヨーロッパ議会の議長マルティン・シュルツ(カトリック系リセで学んだドイツ人)が、ローマに行ってフランシスコ教皇にヨーロッパ議会で話してくれ、と頼みに行った。

教皇は11/25にストラスブールで演説し、人々は市民であり経済主体であるだけでなく超越的尊厳を持つ人格であるということがヨーロッパの根幹にある、を強調した。その「人格」としての人々が社会の中で権利と義務と共通善のもとに結びついているのだ、と言い、出席者に賛同された。

この教皇はアルゼンチン人だ。

こういう離れ業みたいなものとオランドの自由さも関係があるのだろう。

危機管理には多様な道があるべきだ。

正直いって、うらやましい。
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by mariastella | 2014-12-10 00:24 | フランス
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