L'art de croire             竹下節子ブログ

5のつく年の感慨

5のつく年は、第二次大戦の被爆、終戦、それに今は、阪神大震災やオウムのテロの年からも10年単位の記念の年ということで何かと過去を振り返ってしまう。

レジオン・ドヌール勲章を、「名誉を政府が決めるのはおかしい」ということで拒否した今人気の経済学者トマ・ピケティが、「僕はベルリンの壁がおちた時は18歳だったので、マルクスや共産主義に誘惑される世代ではなかった」と述べているのを聞いて、ああ、そうなのかと世代の差を感じた。

一昔前の知識人は、特にフランスでは、みんなが一度は「共産主義革命」のもたらすユートピアに心を奪われたものだ。
 
だからこそ、フランス政府も保守政権の時にも、革命を起こされるよりはましだからと思って累進課税を導入したわけだ。

「共産圏」が崩壊して幻想が敗れた後は、もう何の歯止めもなくなって、不平等が広がり、今やマルクスが資本論を書いた時代に逆行するほどの格差社会になっている。

ピケティが言っているが、人口9千万のエジプトで教育予算が50億ドル以下なのに、目と鼻の先にある小国アラブ首長国連邦では5千億ドル以上あり、この不平等を前に暴力が爆発してもおかしくない。それを抑えていたのは石油資本を投入する欧米が同盟、防衛していたからだ。

それでも、1990年と今を比べると、途上国の平均寿命は乳幼児医療などの普及で10年延び、就学率も83%から90%になり、飢えている子供の数は半数に減ったのだと言うから、個々の運不運、幸不幸を別として、全体としては少しましな方に向かっているのかもしれない。

産業革命以来の社会の不平等、暴力革命と、共産主義社会の建設の失敗、その後に再びやってきた社会の不平等、そしてテロリズムの勃興、と、みんなが概観できる分かりやすい歴史があるのだから、今度こそは平和の裡に不平等を解消する方法が真剣に模索されればいいのだけれど。
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by mariastella | 2015-01-02 07:14 | 雑感
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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