アレックス・ベルタイナという画家がいる。
トリノの出身でヴェニスの絵などを描いている。なぜかカタカナで検索しても出てこなかったのだけれど、
Alex Bertaina と入れて画像検索すれば
たくさんの作品を見ることができる。
こういうのとか
こういうのとか本当に美しい。
水彩画のような透明感があってまるで感性にまかせてさらさら書いているようだけれど実はばりばりの油絵で、計算尽くしていて、すごく工芸的で、
どうやって仕上げていくのかを紹介した動画まである。
この人にまつわるエピソードや心地よい作品群を見ていると、実はなぜだかすごく複雑な気分になる。
ムード・ミュージックを好む人に、なぜフランス・バロック音楽の方がすばらしいのかと自分の考えを語ることはできるのだけれど、ベルタイナの絵を好きだという人には多分何も言えない。
実物を観たことがないので分からないのだけれど、写真だけを見ていても彼が多分「万人受け」することが容易に想像できる。今年は台北のアート展に招かれているそうだが、日本でも受けるような気がする。
インテリアとしてもぴったりの一枚だ。
私には言葉が見つからないのだけれど、大野左紀子さんあたりが言語化したものを読んでみたいなあと思う。
そういえば全然別の話だけれど、さっき知り合いがメールで
9歳の天才少女歌手アミラちゃんの動画のリンクを送ってきた。
開いてみたのだけれど、会場を埋め尽くした大人たちが涙を流しているのがしつこく映されているのを見て強烈な違和感を感じた。
確かにあの子供の体、肺活量や声帯などであの声量はすごいし、表現力もあるのだけれど、なぜか感動できなかったのはどうしてだろう。
「わー、すごいね」という返信ができない。
「…」という感じ。
人々が見たい絵を描き、聴きたい歌を歌い、それに制作の秘密とか天才少女とかいう付加価値が加わって立派な商品が生まれるのだろうか。
アイドルを消費し続けるよりはましかもしれないけれど。