L'art de croire             竹下節子ブログ

シャルリー・エブドのその後、オーレリー・デュポン、そしてランボー(追記有)

『シャルリー・エブド』の編集長になって、テロの次の週の表紙にムハンマドの絵を描いてまた大騒ぎを起こしたLUZが、カンヌ映画祭のカトリーヌ・ドヌーヴのカリカチュアを最後にシャルリー・エブドを去った9月にやめると宣言した(追記参照)。

毎回の締め切りが拷問のようだ、と言っていた。

一月のテロ以来寄せられた寄付は400万ユーロにのぼりすべて犠牲者の家族に渡した、売り上げも1200万ユーロにのぼり大黒字だそうだが、トラウマの消えない中での奮闘は限界を超えたようだ。

でも、『シャルリー・エブド』はやめても「シャルリー」であることはやめない、と言っている。



(追記:  これを確認するために『シャルリー・エブド』の最新号を買ったら、表紙ではないけれどまだLUZのカリカチュアがあってほっとした。やめると言ったことで気が楽になるとおもったら大騒ぎになって困っている様子もマンガになっていた。黒字については1200万ユーロは純益だが、そこから3割も法人税を払わねばならないとあった。400万ユーロに近い寄付はいったん供託口座に入れられたそうだ。1月のテロで負傷した4人の中には肩、腕、顎、両脚を負傷した人の他に肺と背骨をやられたウェブマスターもいて、まだまだ復帰の道は遠いようだ。)

同じく負傷したが完全復帰したもう1人の風刺画家RISSの自宅アパルトマンの入り口の写真を撮っていた2人の男が職務質問を受けたというニュースもあった。2人とも警察の要注意人物のリストに挙がっているのだけれど、近くの医者に来たとか偶然通りがかっただけ、と言い張り、それ以上追求できないので放免されたそうだ。

編集部はもちろん警察による厳戒態勢が続いている。編集者一人ひとりもエスコートされている。

確かにそんな状況で働き続けるなんて大変なことだ。

でもRISSは自分の仕事はやりがいがあるからセキュリティはプロに任せるだけだと割り切ったことを言っていた。

オペラ座のエトワールを定年で引退したばかりのオーレリー・デュポンは、エトワールに指名されてから数ヵ月後に足を痛めて、もう踊れないといわれたそうだ。手術して、踊り方を一から修正して18年踊り続けたが、痛みはずっと消えなかったそうだ。痛みの強さ、つらさと踊る喜びとを常に天秤にかけて、踊る喜びのほうが大きかったから痛みに耐えてきたと振り返っていた。

なるほど。

私はたとえば楽器を弾くときに腱鞘炎で指が痛ければ、そのことだけで「喜び」は消滅してしまう、または削減されてしまうのだけれど、プラスマイナスで結果を見るのでなく、「喜び」の方が少しでも大きければ「可」としてしまう生き方もあるんだなあと思った。

テレビでファブリス・ルキーニがランボーが11 歳の時にギリシャ語もラテン語も最優秀の成績だったことを上げて、ギリシャ語やラテン語が一番の生徒がランボーになるわけではないが、ランボーの天才が開花するには古典語による文化の土壌の継承が必要だった、と言っていた。 la liberté dans la contrainte (制限の中の自由)こそ芸術なのだと。

いろいろ考えさせられる。



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by mariastella | 2015-05-21 07:34 | 雑感
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