L'art de croire             竹下節子ブログ

難民の話

フランスではイラク、シリア、トルコ難民の受け入れにまつわるニュースばかりなのだけれど、さすがに遠い日本では誰も亡命を希望していない対岸の話かと思っていたら、リテラのサイトにこんな記事を見つけた

まあ、今までの日本の態度からしても想定内かなとも思う。

けれど、東京ジャーミィ周辺の平和な感じやイランが最初に経済制裁を受けた時に日本がイラン人にビザを発行して多くのイラン人が日本に来ていたことなどから、非ヨーロッパ同士で日本ではムスリム受け入れのハードルがもっと低いのかとも感じていた。

この記事によると、ミャンマーからの難民の受け入れが一番多いとある。

誰も敢えて言わないけれど、ベトナムとかミャンマーからの難民の方が、「見た目の違和感」が少なくて受け入れやすいこともあるのだろうか。

なぜなら、これも誰一人として口にしないけれど、今、フランスで絶えまなく報道される中東からの大量の難民が押し寄せる光景が、もしブラック・アフリカの人たちだったら、ヨーロッパの白人たちの受ける印象は違ったのではないかと思うからだ。

もちろんフランスでも北アフリカのマグレブ諸国からの移民や移民の子孫に対する偏見や差別が事実として存在するのだけれど、フランスの白人はすでにラテンやゲルマンなどの混血が多くて北欧やドイツのような「金髪碧眼」のイメージはない。
だから、アラブ人、トルコ人、イラン人などがいても外見はそう違和感がない。
子供などは特にそうで金髪碧眼に近い子供はいくらでもいる。

サッカーのジダンのようにコーカソイドに近いベルベル人はなおさらだし、彼らと白人の混血も非常に多い(フランスはヨーロッパで突出して異民族カップルの数が多い)し、目鼻立ちに至っては、例えば日本人の目から見ればコーカソイドと全く区別がつかない。

ヨーロッパに東アジア人の集団がいる場合は、目鼻立ちが明らかに違うから違和感はあるのだけれど、遠目には「色」のショックはない。個別ならなおさら、体格的にも「脅威」を与えない。
都会の「フランス人」からはむしろ「賢者」「ゼン(禅)」「優秀」のポジティヴ・バイアスで見てもらえる。

黒人の場合、一人一人を前にするともちろん肌の色だけではなんとも思わないのだが、私自身、フランスにいる極東アジア人というマイノリティ(特に差別される環境にいないけれど)なのに、黒人の「グループ」と遭遇すると警戒してしまうというアルカイックな気持ちは否定しようがない。

あたりにも、中東からの戦争難民を優遇して無意識にブラックアフリカからの経済難民を「差別」するような空気が醸成されている。

アメリカで今も続く黒人差別の実態を見ても、もっと根本的に偽善を排した対応や啓蒙が必要なのではないかと自分に対しても思う。

もうひとつ思ったのは、9/10のフィガロ紙で、元大統領で今保守である野党の党首となったサルコジが、今回の難民受け入れ(保守ではもちろん抵抗が大きい)について「戦争難民」について別の法律を作って、戦争が終わって出身地域が平和になったら帰国させるという条件を課するという提案をしていたことについてだ。

これを読んで連想したのは日本の「放射能難民」のことだ。

汚染区域を避難、脱出した人は保護するけれど、いったん除染が終われば

「はい、除染が終わりましたよ、お帰りください」

みたいな部分がある。

原発のかかえる根本的な問題は解決していないし、何年も住民のいなかった地域が「除染された(というのもいろいろなレベルがあるだろうが)」というだけで、みなが「元の家に帰って元の生活ができる」というわけでないのは自明だ。

放射能難民も、戦争難民も、

「とりあえず放射能では死にません、とりあえずもう弾丸は飛んできません、きれいです、平和です、さあ故郷へ戻って自立してください」

などというやり方で解決できる問題ではないし、新たなもっと深刻な問題を全体に広げることにしかならない。

とりあえず自分たちの周辺だけが「安全そう」に見えるだけでいというその場限りの対策は、単なるエゴイズム以上の毒をはらむ。
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by mariastella | 2015-09-11 00:36 | 雑感
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