L'art de croire             竹下節子ブログ

ルイ=マリー・グリニョン・ド・モンフォールの聖遺物

これは8/15に被昇天のノートルダム教会に行った話の後日談だ。

9/13に行われる教会の聖別の前夜にルイとゼリー・マルタンとルイ=マリー・グリニョン・ド・モンフォールの聖遺物を前に祈りの集まりがあるというのでまず12日に行く。

洗礼盤のある丸い部屋でのこじんまりとした集まりで、例の声のいい司祭とずっと掛け合いで祈りの歌いよみをしていく。

その後で、蝋燭を供えに行くと聖遺物を近くで観察できるのだけれど、みんな、画像の粗いマルタン夫妻の写真とルイ=マリー・グリニョン・ド・モンフォールの肖像画の写真の前でじっとひざまずいているばかりで、上の台にある聖遺物を見ていない。

でも小さくて遠くからはよく見えないので私も蝋燭を供えに行って何とかできるだけ近くで見た。

前の時は華麗な聖遺物入れに入っていて近くでじっくり眺めることができたのに。

リジューのテレーズの両親の聖遺物については前に書いた。)

今回はあっさりしたメダル状のケースに入っているだけで、ひとつだけで、茶色のかさっとした感じのものが数片入っているようだから、3人一緒ということだろうか。そばにたたまれた薄紙があったので、その中に福者の分が分けられているのだろうか。

質問できる雰囲気ではないし、こういうシーンで誰も好奇心を持っていないかのようなのは不思議だ。

これは祭壇に埋め込まれるものだから地味なのだろう。

マルタン夫妻の列聖はひと月後に決まっているのだけれど、今の段階ではまだ「福者」で、教会は「聖人」に捧げられなければいけないので、現役聖者の遺骨も必要だったのだ。

マルタン夫妻は前の記事で「今が旬」だと書いたが、列福の後でまた新たな奇跡が認定されたということだ。
列福から7年になる。
リジューのテレーズ一家は、とにかく「効験あらたか」で奇跡が起こりやすいというのはどうしたことだろう。

ルヴェリエール司祭は、今回、この教会にふさわしい「聖遺物」を探したが、元より「被昇天」した聖母に「遺骨」はない。

聖母の髪の毛とか聖母の帯とかの有名な聖遺物はすでに有名教会に納まっているし、聖母の出現とか奇跡の聖母像などもすでに「出払って」いる。

新しい福者でフランス人で墓地がはっきりしていて「遺骨」の分配が簡単で、近代カトリック一番の「人気聖女」リジューの聖テレーズの両親であるルイとゼリーは手軽に手に入るものだ。

聖母マリアとの関係は、修道生活希望だったこの二人が結婚式を挙げたのがアランソンの被昇天ノートルダムの大聖堂だったという縁だ。テレーズもそこで洗礼を受けている。マルタン夫妻が列福された翌年にその起用会は教皇からバジリカ聖堂の使用号を送られて、巡礼地のひとつになった。

でも、二人はまだ正式に列聖されていない。他の聖人の遺骨が必要だ。

で、17世紀末からの熱烈な聖母信仰で知られるルイ=マリー・グリニョン・ド・モンフォール(1673-1716)に白羽の矢が立った。

近代以降のフランス人聖者で「智慧の娘」会がかなりの遺骨を「管理」しているので出所は確かだ。

ルイ=マリー・グリニョン・ド・モンフォールといえば、サヴォナローラですか、というほど熱烈過激な人で、司教たちもたじたじ、聖母マリアに対しては「奴隷になります」という誓いをたてたのだからすごい。28歳で奉仕し尽すと決心して15年で実際に消耗しきって43歳で死んでしまった。

ナントなどから割合近いポンシャトーのカルヴェリオのようなテーマパーク顔負けのぶっ飛び加減もこの人由来ならでは、だ。

無私で本気の人はいつの時代も多くの人の心を動かしてしまうようだ。

18世紀のはじめ、彼の呼びかけで何千人もの人々が集ってアヴェ・マリアを歌いながら丘を築いて15ヵ月もかけて十字架の道やゴルゴダの丘を造ってしまった。

完成を祝おうと2万人の人々が集まってきた祝いの前日に、ナントの司教から禁止令と取り壊し令が届けられた。

その場所が国の手の届かない避難所になることを恐れたルイ14世の処置だったらしい。

ルイ=マリー・グリニョンはほぼ追放され、取り壊しを命じられた500人の人も、最初は取り壊しを拒否したが、十字架が倒されてキリスト像が壊れるのを恐れて降ろしたという。

その後少しずつ再建されて、今では立派な巡礼地になっている。

「アダムとイヴの洞窟」「ベツレヘムの洞窟」「ゲツセマニの洞窟」などもある。

ピウス12世が列聖したというのも何となくこの聖人にぴったりだ。

翌朝の教会の聖別セレモニーについては次回に。
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by mariastella | 2015-09-14 00:40 | 宗教
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