L'art de croire             竹下節子ブログ

オランドが中国へ。一人っ子政策の廃止とフランスの出生率

フランスのオランド大統領が中国に行っている。イギリスやドイツに乗り遅れないようにあれこれセールスすることと、12月のパリ環境会議cop21に、アメリカについでの環境汚染国中国に根回しをするためだ。

中国はひとりっこ政策を廃止したとして今話題になっているが、それは「出産についての制限」を廃止したのではなく、2人目OKというだけで、3人以上は今までと同じようにペナルティがつく。

政治的経済的な理由で「生まれる」ことや「産む」ことに干渉するということは、
政治的経済的な理由で「生きる」ことや「生かされる」ことに干渉することとパラレルだ。

生産せずに消費せずに公的支援や介護費用のみかかるような障碍者、病者、老人に「生きていてほしくない」というのと変わらない。

少子化を防ぐために三世代同居を勧めることと高齢者自宅介護の対策がセットとなっているのと似たようなものだ。

それでも、中国の一人っ子政策は、不可能に思われた一党独裁政治と自由経済の両立を支えてきた。

西側諸国は、自由経済、自由競争と民主主義がセットとなっていると思っていた。
中国に資本主義が蔓延すれば必然的に一党独裁が内から崩壊して民主主義の仲間になるだろうと。

ところが、そうはならなかった。

一党独裁のもとに経済繁栄を支えたひとつの要素が一人っ子政策である。

一人しかいない子供に親や祖父母が寄ってたかって金をかけ甘やかしたので「消費」が増大したからだ。

多くの人はきょうだいの中での順番によって小さなころから多かれ少なかれトラウマやフラストレーションを抱えながら「自分が世界の中心ではない」という現実と向かい合っていく。

「世界の中心」という意識の中で育った膨大な数の若者があふれる社会はいったいどういうものなのか見当がつかない。

フランスの出生率が髙いことについてよく婚外子の割合が半数を超えることが語られて、日本のシングル・マザーの経済的困難との比較の記事も読んだことがあるが、フランスで「婚外子」というのは「片親家庭」とは全然関係がない。

日本で言う「事実婚」であり、子供のいる事実婚のカップルが破綻してもまた別の人と暮らし始めるし、子供の養育が完全に半々だったりバカンスや週末は別の親のところに行ったりするから、異父や異母の兄弟らとの接触も多くにぎやかで、いいことか悪いことか分からないが「自分が世界の中心ではない」ということはいやというほど思い知らされる。

いい面では、「多様性」を学び、ステップ・ファミリーごとのマイ・文化を泳ぐ適応能力がつく。

一度も別れずに子供が成人し孫が生まれても事実婚のままのカップルも少なくない。

きょうびのパリで「わたしの妻が」とか「うちの夫が」なんていうとすっかり前世代というか古き良き保守派みたいに聞こえるくらいだ。

フランス人と日本人の感受性の差で一番大きい者のひとつがこの「家族観」かもしれない。

二世帯住宅にせよとか、子供の数を制限するとか増やせとか、政府の口から言われた日には、また革命が起こっても不思議ではない。
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by mariastella | 2015-11-03 23:39 | 雑感
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