L'art de croire             竹下節子ブログ

アイスランドのズーイズム

アイスランドで短期間に人口の1%に当たる3100人が突然ズーイズム(日本語でなんというのか分からない)に改宗したそうだ。

ズーイムズム(ズー教?)は4000年前のシュメールの宗教で、ストラクチュアがない。

問題は、アイスランドには、税金といっしょに、各自が所属宗教を届けて、税金の中からその宗教への補助金が支払われるシステムであることだ。こういう国はヨーロッパには他にもある。

しかしアイスランドはひとりあたり73ユーロ(1万円くらい)と決まっている。

ルター派のプロテスタントがマジョリティだけれど、他に40宗教がリストにあって、そこから選んで申告するシステムだそうだ。

ズーイズムは、そのリストから消そうという動きがあったほどマイナーな名ばかりの宗教であるようなのだけれど、宗教税に反対する人たちがこぞって自分たちはズーイズム信者になったと申告した。
税金逃れというより、宗教税聴取システムに対する抗議のパフォーマンスなのだろう。

ズーイズムの自称代表者は、別に教会活動がないので受け取った金を払い戻すと言っているそうだ。

そのことをあげつらって「偽宗教だ」という人もいる。

しかしそれなら、では「本当の宗教」とは何かということになる。

日本語の語感からいうと「教え」があるものだが、ヨーロッパ語の語源的には「人を結びつけるもの」となる。

古代宗教への回帰に向かう人には

自然志向、エコロジー志向というタイプ、

神話趣味、呪術趣味、フォークロアへの興味というタイプ、

そして既成宗教への反発、主流秩序からの離脱というタイプ

などがあるだろう。

今のアイスランドで古代のメソポタミア宗教に回帰となると、政教分離への意思表示がなんだか奇抜な方向に行った感はあるけれど、それが少なからぬ人々を結びつけるなら一種の宗教的連帯が生まれているのかもしれない。

宗教原理主義者の独善主義ががあちらこちらでまかり通っている時代においては、いっそさわやかな感じがしないでもないエピソードだ。
[PR]
by mariastella | 2015-12-13 07:59 | 雑感
<< フランスの州議会選挙の結果について ISと神とダライラマ >>



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
以前の記事
カテゴリ
検索
タグ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧