Arteでロシア正教の復活祭のドキュメント番組を見た。
北西のラドガ湖というところにあるValaam島にある修道院。
近くの町に行くには船で4時間かかる。ロシア革命時にはフィンランドに併合され、1940年にはソ連に併合されて軍事基地や施設ができる。
修道院は廃墟となり、1989年に6人の修道士が戻ってきた。
ビザンチン典礼にロシアのテイストが入った音楽は信仰生活の中心のひとつだ。
修道士たちの歌唱訓練をするためにマリンスキー劇場の女性オペラ歌手が来て指導する。
今ではロシアのアトス山と言われているそうだけれど、気候が違う。こっちの方が格段に厳しい。
音楽なしでは成り立たない生活。音楽のようにハーモニーと共鳴の中で生きる、と強調されていた。
ここはロシア正教だから十字を切るのは右手で横棒は右肩から左肩へと、カトリックと反対だが、左手を使う人は映っていない。
クリスマスより復活祭が大切。「犠牲はむだではない」ことの証しだから。
モスクワでプロのサッカー選手だった修道士はここにきて7年目。
修道院での生活はサッカーと似ている部分もある。自分たちは自然のゴールキーパーであり、アタッカーではない、と語る。
ペレストロイカ以降多くの教会や修道院が修復され豪華になったけれど、それによって魂が失われている、という警告も。
この修道院も2008年にプーチン大統領が修復感性のセレモニーに出席したそうだ。
一番驚いたのはここの霊的指導者で皆から尊敬されているセラフィム神父が、アルザス出身のフランス人だということだ。
1人で隠遁所に暮らし、フランス語でインタビューに答えていた。
それを見ると、ロシア正教で民族色があるといっても、やはりキリスト教は普遍宗教なのだなあと思う。
とはいえ、こういう風に外の世界から切り離されて祈りと労働(蝋燭製造などの他、薪割りや食事の支度だけでも大変だ)に徹する男たち。
図書係りの修道士は「以前結婚していたことがある、結婚とは何かを知ったから戻る気はない」とやけにリアルに行っていた。
彼らは基本子孫を残さないわけだけれど、こういう霊的で禁欲的な人たちの共同体が弾圧されることなくどこかで平和に存続していけるというのは世界の霊的健康にとって大切な何かを担っているのだろう。
(続く)