L'art de croire             竹下節子ブログ

あるヴァティカニストの話

ヴァティカニストと呼ばれる国際記者クラブのような存在があって、教皇が飛行機に乗る度に同行する。
機内は「国境なき教区」と呼ばれている。
ジャーナリストの中には離婚した人や再婚した人などもいるが、そのようなことは問題にされない。

教皇はそこでいろいろなインタビューに答えるのだが、その雰囲気はこれまでの教皇と全く違うそうだ。

もちろん、時には百万人単位の信徒たちの前で発せられる説教などとは比較にならず、飛行機に同行してインタビューするのは60人ほどだそうだから、規模も親密さが違う。

あるフランス人女性記者が教皇にこれまでの女性との個人的な関係を尋ねて教皇がそれにも答えたそうだ。
そんな質問は以前の教皇には絶対にされることのないものだった。

今の教皇がはじめての「新大陸出身のローマ法王」であることは誰でも知っている。

その立ち位置は、ヨーロッパのカトリック世界の目から見ると、全く異質の人種に見えるようだ。

今の教皇のパフォーマンスのうまさは、福音派の派手なパフォーマンスと対抗せざるを得ない中南米のカトリックが生存戦略として身に着けた自然体であるとか、政治的な発言をどんどんすることも「解放の神学」を実践した南米の政治状況の中で自然に身に着いたものだなどと説明されているのだ。

なるほど。意外だ。

日本人の目から見ると、「白人」であることに変わりはない。

しかもフランシスコ教皇はアルゼンチン人と言ってもイタリア移民家庭の出身だ。

前のドイツ人教皇やポーランド人教皇がゲルマン人やスラブ人だったことの方が例外に見えて、フランシスコ教皇はなんといってもイタリア系の「ラテン人」なのだから、むしろクラシックな感じがするのではないかとも思ってしまう。

でもそうではなくて、彼に比べたらドイツ人やポーランド人の方がヨーロッパの人々の目から見るとよほどクラシックだったらしい。

それにしても、そんなアルゼンチン人の教皇が、ヨーロッパ人のしかも年配者が圧倒的に多い枢機卿たちによって選出されたのだから、聖霊民主主義というのは侮れない、とあらためて思う。
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by mariastella | 2016-05-30 02:43 | 宗教
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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