L'art de croire             竹下節子ブログ

フランス人って‥‥

一週間ほど前のことだ。

うちの近くのわりと高級な花屋さんの話。

ご主人はカンボジア系だが、すっかりフランス人。

近頃のフランスは新しい労働法に反対するデモやストが続いていて、労働組合のCGTが製油工場やタンカーの給油をブロックしてガソリンスタンドが閉鎖するところも増え、かなりの麻痺正体が続いている。花の仕入れや配達に車を使う花屋さんも困っているのだろう。

製油工場の前にタイヤを積み上げて火を放っている映像がアングロ・サクソン国のメディアで何度も流されるので、10年前の「暴動」報道と同じで、「フランスは炎上している」というテロップまで流れている。

その上、去年のテロ以来の「非常事態宣言」も解かれていないから、パリに来る観光客も激減したという。

それでも町には、フランス人らしく、組合活動や労働運動に理解を示して忍耐強くやりくりしている人が多い。

でも実際のデモに加わる一般人は、私企業の勤め人よりも今回の「改革」と直接関係のない公務員や年金生活者が多いというのだからおもしろい。

で、直接商売に打撃を受けている花屋さんが、私が日本人だということを知っているからかもしれないけれど、猛烈にフランスの悪口を言い始めた。

こんなことではフランスの国際的なイメージが低下するばかりだ、ひどい国だ、恥ずかしい、自分で自分の首を絞めている、働かないばかりか他の人の仕事を妨害する、最低だ、もう終わりだ、と延々と熱心にフランスをこき下ろす。

まあ、悲観的、自虐的に自国をこき下ろすというのもある意味でとてもフランス的なので、私は苦笑して適当に相槌を打ちながら花を選んでいた。

ピンクの美しいボタンの切り花を購入することにする。

花屋さん、にっこり笑って、

「これはいい花です、フランス産だ、長持ちする。オランダ産のものは見た目はいいがすぐにだめになる。フランスの花は丈夫で全然違う。」

と言った。

私は思わず、

「じゃあ、フランスはすべてが最低ってわけじゃないんですね」

と言ってしまった。

フランス産の花の品質によほど満足と自信を持っているらしい花屋さんは笑みを消さなかった。

国産の商品に誇りが持てる国のようで、とりあえずは、なんとなくほっとした。
[PR]
by mariastella | 2016-06-03 00:25 | フランス
<< 今度は水害 聖女ペトロニラ >>



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
以前の記事
カテゴリ
検索
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧