L'art de croire             竹下節子ブログ

ラマダン中の見ず知らずの人とおしゃべりした話

ラマダンが始まって一週間。

今まで、うちで工事している人がラマダン中で昼休みに何も食べずに横になっているとかいうのには遭遇したことがあるけれど、ラマダン中のムスリムの人と、ラマダンそのものについてはじめて話をした。

もともと周りにムスリムの知り合いがほとんどなく、ラマダンを実行している知り合いはゼロだった。

ラマダン中の昼間はレストランもすいているような気がするし、朝市で鶏のローストを売っている親子もラマダン期間は朝市に来ない。

歯医者の待合室で飛び入りした男の人。

40歳くらい?

予約していないが歯医者の知り合いで緊急に入れてもらったという。

彼が私の横に座ったすぐ後、私はなぜか咳き込んだ。

するとその人が「大丈夫か」みたいな声をかけてきた。

「はあ、だいじょうぶです」

「煙草を吸うのか?」

「(えっ、何で咳しただけで即喫煙者認定なの?)いや、吸いません。」

「そうか、私も吸わない、酒も飲まない。ラマダンだし。」

「あ、ラマダンが終わったら喫煙OKなんですか?」

「いや、ラマダンでなくても酒も煙草もやらない。」

「あ、そうですか。でも今は日が長くて(夜十時ごろまで陽が落ちない)大変ですね。」

「いやこれは慣れの問題だから」

「でも、もともとアラビアあたりを想定した習慣なのだから、フランスみたいな緯度のところで夏至に当ると体に悪いのでは?」

「いやフランスの方が過ごしやすい」

「もっと北、スエーデンとかに行って白夜で太陽が沈まなかったらどうするんですか」

「私はスエーデンにも行ったことがある。でも、ラマダンではなかった。寒かった。でも、地中海に面した地域でのラマダンは、断食時間の長さより暑さがつらかった」

「脱水症状になったらどうするんですか。お年寄りが熱中症になったら? 信仰のために健康を失ったら大変ですよね」

「いや、それは自分で判断して、どうしても飲食を必要とする時には、自分が飲食した分を同じだけ貧しい人に施せばいい。病気の人、旅行中の人もそうする。」

「なるほど。一番の目的は何でしょう。共同体のアイデンティティ?」

「それは自分を浄めるためだ、預言者(ムハンマド)の意図はそうだった」

などなど、終始にこにこと答えてくれたのでその後もだんだんと素朴な疑問を繰り出して答えてもらった。

そのうち私が診察室に呼ばれて中断。

何でもそうだけれど、「当事者」と親しく話したら、全員に対する見方が少し変わってくる。

こういう時、私が「金髪碧眼」の外見でなくて得してるなあと思う。
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by mariastella | 2016-06-13 23:49 | フランス
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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