L'art de croire             竹下節子ブログ

精神の健全さとは  その5


(前の続きです)

5.問題を局地化できる能力

「私はどうしてこの職業を選んだか」「この伴侶と家庭を作ることになったか」などの問いに必要充分の理由を見つけるのは難しい。
問題を一般化すれば、形は堂々としたものにはなるが解決は遠のく。

「生きている意味はなにか」などの実存的な問いもそうだ。

大風呂敷を広げずに、問題を仕分けして具体的なレベルに降ろしてから扱おう。

回答可能な問題はすでに問題ではない(by ダライラマ)。

超越神を立てる宗教では、実存的な難問(アポリア)を超越レベルに棚上げすることができる。

解決してくれるのは「聖霊」というわけだ。

「人事を尽くさずに天命を待つ」というのもありかもしれない。

問題を局地化して手の届くレベルで扱うことで、納得のできる一通りの解決が着いた場合には、小さな達成感やら成功体験がポジティヴな流れを作ってくれるかもしれない。

それには、もっと深刻、重大な問題を棚上げにしているのだという「不全感」をスルーする力が必要だ。

私がパリの無差別テロの後に、とりあえず自分のできるレジスタンスとしてフィルハーモニーでの合同演奏に参加を決めたのもこの実践だった。

移民の子弟のゲットー化、大国のエゴ、新自由主義経済のひずみ、軍産共同体のまやかし、テロを引き起こすいろいろなマイナスの要因ばかりを考えると絶望しかない。
自分にできることなど何もない。
ただ、恐れてびくびくして引きこもりがちになるばかりだ。

けれども、自分にできそうなレジスタンスに最小化していけば、少しの努力(暗譜するとか、私のきらいな集団行動に服するとか)を通して楽しい分かち合いが実現し、ポジティヴな気持ちになれた。

その後も、警官が襲撃されたりデモやストが続いたり、暗い話題が続いているけれど、それに向かい合って自分に見合ったレベルでポジティヴな最適解を探るという姿勢は、続いている。
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by mariastella | 2016-06-18 00:17 | 雑感
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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