L'art de croire             竹下節子ブログ

ある研究者との出会いとそれに続くdéceptions

7/10、ワシントンのNIHでインフルエンザウィルスをブロックする タンパク質の研究を20年したあとで皮膚色素の研究に転向したNIHの名誉研究員の男性とゆっくり話す機会があった。

科学の研究とアートの関係に興味があるという。

彼は今はアメリカ人だけれど、もとはスイス生まれでチューリッヒ大学で医学博士号を取った人でフランスのパスツール研究所でも勤務したことがある。

学会で日本にも、東京、札幌、京都、松本などに行ったことがあるそうだ。でもNIHは政府の機関だから往復の飛行機が決まっていて、自分で滞在を延長して観光したりできないのだそうだ。

フランスなら、帰りの便を遅らせて数日の自由行動を自費ですることができる。ドイツなら、学会の後家族を呼び寄せてバカンスを楽しんでも、その家族旅行の経費をすべて経費として税金の申告の時に差し引くことができる。

科学の分野で異文化同士がインスパイアし合う例として小話をしてくれた。

アメリカで白人が「今年の冬は寒さが厳しくなりそうかどうかろを知ろうとして、先住民インディアンの経験知に頼ろうとして聞きに行った。

インディアンは、「まだ何とも言えない。もう少ししたらまた来なさい」と言った。

しばらくしてまた聞きに行った。

インディアンは「まだ観察データがそろっていない。もう少ししたらまた来なさい」と言った。

しばらくしてまた聞きに行った。

インディアンは答えた。

「寒さは厳しくなるだろう。なぜなら白人たちが大量に薪を切り出していたから」

という話。

つまり、観察データは文明の出会いによって互いに影響しあっている。科学はこうして進歩していくのだ、という話だ。

彼と話していると時間を忘れる。

再会を約束して、楽しい一日だったのに、夜になって参院選がどうなったかなと思っていつものように澤藤統一郎さんのブログをのぞいたら、がっかりした。去年の安保法案の時にはあれほど参院選が勝負だと野党が言っていたり、参政権の年齢を引き下げたり、投票の呼びかけがあったように見えたのに、投票率は相変わらず低いし、なんだか何も変わっていないようだ。

その後、ユーロ杯の決勝でフランスがポルトガルに延長戦で負けた。

勝てば車のクラクションやなんかで騒音に悩まされるところだったから静かでよかったけれど、グリエーズマンが「ひと月の間に二度決勝で負けたのが悔しい」(スペインのクラブのリーグ戦。ロナウドが相手チームにいた。今回はロナウドは負傷して早いうちに退場したがポルトガルはロナウドなしでフランスに勝利したことになる。、何十年ぶりかだそうだ。そういえばフランスも準決勝で何十年ぶりかでドイツに勝利した。)と言っていたのが興味深かった。

彼にとって「チーム」との一体感はあっても、いわゆるナショナリズムは全くないのがよく分かる。

でも、いわゆる「ホーム」での32年ぶりの決勝で敗れたフランスのサポーターの失望ぶりを見ていると、参院選のこともあいまって、なんだかがっかりしながら夜が更ける。
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by mariastella | 2016-07-11 08:16 | 雑感
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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