L'art de croire             竹下節子ブログ

WYDクラクフ(クラコヴィ)大会(ポーランド)とフランスの教会テロ

カトリック教会が主催する青年の集まりとしてワールド・ユース・デイというのがある。最近は3年ごとで、前回が、南米出身初のフランシスコ教皇の就任初の遠出となった同じ南米のリオ・デ・ジャネイロだった。

ヨハネ=パウロ二世(JP2)が1984年からはじめたので、JP2世代と呼ばれる世代がこの催しものと共に成長した。

前回ポーランドで開催されたのは1991年のチェンストホーヴァで、この時の大会で知り合って結婚したという30代から40代のカップルがポーランドにはたくさんいるそうだ。その人たちが家庭を参加者のホームステイの場に提供している。

フランスからは35000人が参加。

ニースからの巡礼グループもキャンセルは全くなかったそうだ。気持ちはわかる。日本のグループもfacebookがあるので雰囲気が分かるだろう。

日本から参加するのってどのくらいかかるのだろうと検索すると、一例(リオの時)として、
289,300円
【内訳】
 旅行代金(186,700円)
 大会参加費・宿/食事・その他現地プログラム(103,000円)
ほかに、燃油サーチャージ、空港税、海外旅行保険料、入国ビザ取得代金
18歳(高校生を除く)〜35歳
国籍は不問。(ビザ取得条件についてはお問い合わせください)

で定員90名で先着順というのを見つけた。

うーん、当然だけど高額だ。

フィリッピンの時は交通社が組んだツアーで観光込みで39万円というのもあった。

フランスではいくらかかるかちょっと検索。

今回はヨーロッパ内なので一例(カンブレ司教区の場合: 250人ほど参加希望)大型バスを仕立ててみんなで行って600ユーロぐらい。(6万円台?)

年齢は18〜29歳。 16歳以上18歳(フランスの法的成人年齢)未満は一人につき、一人の成人の責任者を必要とする。

30歳以上はオーガナイザーとして参加できるが数に制限あり。

カトリックは「普遍」なので、誰でも参加OK。

他の人を丸ごとリスペクトすること、趣旨に賛同していることが条件。

洗礼を受けていなくても、大丈夫。


参加の申込金150ユーロを支払えば、いろいろな関連グッズを渡してもらえて、それを売れば、その売り上げの大半を旅行費用の足しにできる。

またすべての希望者が行けるように広く寄付を募る。

富裕層は別として平均的な人は寄付したお金の七割は税金控除の対象になるので100ユーロの寄付は実質30ユーロの出費となる。基本的に、費用だけのせいであきらめることのないシステムになっている。

3年前のリオの大会では、日本から行くよりもさらに遠い感じになるが、リヨンの例を挙げれば、2100ユーロとさすがに高い。

申込時に800ユーロ(分割でもOK)を払えば、残りの1300ユーロは関連グッズやケーキや雑誌の販売によって賄えるように助けるから心配するな、とあった。

世界最大規模の青年の集まりで、以前にも書いたが、カトリックという言葉は入っていないし、上にも書いたように、参加資格に宗教を問わない。

フランスのような国(カトリックの参加者がいくらでもいそうな国)で参加資格にしっかりそれが明記されている。

日本の募集にも公式のものにはカトリックであることが条件であるなどとは書いていないようだけれど、もともと絶対数が少ないのだから、もっと広く宣伝するという考えはないのだろうか。

「福音宣教」のチャンスのように思えるのだけれど。

それとも日本の教会はすでに洗礼を受けている人たちの「司牧」が中心なので、他に手を広げたくない、
もともと同調圧力のある国だから、空気を読めない人が混ざるリスクは犯したくない、
また、カトリックでない人にはもともとハードルが高い、
さらに、「カトリックでもない若者」に渡航費用の援助などをしたくない?

なんとなく「カトリックの行事」というコンセンサスだけがある?

よく分からない。

さらに検索すると、日本でも、今回の募集について、イグナチオ教会では自己負担3万円であとは信徒みんなで支援というのが若干名に開かれていたのが見つかった。

しかしハードルは高い。

「熱意にあふれる若手信徒の皆さまの応募を心よりお待ちしております。」

で、「信徒」と明記。

「参加資格 大会参加時点):当教会に所属する18歳(高校生を除く)から35歳の信徒。国籍不問。」
で「課題レポート」の審査と面接がある。

レポートの課題テーマは
A:自分自身の信仰の歩みについて
B: 聖イグナチオ教会で10 年〜15 年後にやってみたいこと
C:テーマ自由(ただし信仰にかかわること)
のいずれかを選ぶ。

これは大変そうだ。

でも、もし公式巡礼団が「信徒かどうかを問わない」と明言しているなら、私が今日本に住む20代の普通(つまり宗教帰属意識が特にない)の若者だったとしたら、絶対に参加したくなりそうだ。

普通のツアー旅行と違って、ホームステイをはじめ現地の人とも、そして世界中から来る人々と楽しくお祭りができるなんて、稀有のチャンスだと思う。

いや、もし他宗教に帰属意識があったとしたら、なおさら、好奇心もあって異文化体験に参加するだろう。

日本のいわゆるミッションスクール系の学校にはカトリックでない生徒や学生が大半だと思うけれど、彼らの中にそうやって参加している人がいるのだろうか。

それとも教会のいわゆる青年会みたいなものに所属している若者が中心なのだろうか。

ミッションスクールにも教会にも縁がなかったのでよくわからない。

でも、フランスから参加している若者たちはほんとに楽しそうで、ミュンヘンからきている高校生が無差別銃撃事件を知ってショックで泣き出したのをみんなが慰めて一緒に祈ったりしている姿を見るのも心が温まる。

こんなにたくさん若者が集まって、教皇とも会える。

テロのリスクも心配だが、ヨーロッパの他の国よりは危険度が低く、今回はNATOの集まりと同程度の警備態勢だというので大丈夫だとは一応言われている。

世界中から若者たちが集まり、楽しみ、歌い、踊り、愛し合い、祈るというイヴェントは地球の未来に希望を与えてくれる。

無事に終わることを祈ろう。

追記: 7/26に、フランスのルーアンの近くの教会で司祭が殺された。

WYDで若者に付き添ってポーランド入りしていたルーアンのルブラン大司教は急遽教区に戻ることにした。

「カトリック教会は祈りと人間同士のきょうだい愛以外の武器はとらない」とコメントした。

「真の人間性の未来である青年たちをここに残します。彼らが暴力の前に屈せずに愛の使途となることを願います。」と。

フランス司教協議会であるマルセイユのジュルジュ・ポンティエ大司教(ポーランドに残っている)は「我々の武器はいつくしみ(神の愛)である。」とコメント。

「きょうだい愛に依拠する生活を築くにはいろいろなドラマやいろいろな段階を経なくてはならないと分かっている。でもそれは我々の祈りを一層強くする。特に今年はいつくしみについて考える年だから。」

「いつくしみが我々の武器である。復讐ではない、憎悪ではない。我々キリスト者の武器は、キリストに続くことである」

なるほど。

これに対して、フランスのチベット仏教者は、「寛容や平安や慈悲と、このような蛮行を阻止するために不可欠な措置をとることとを混同してはならないことをそろそろ学ぶべき時が来た」とコメントしていた。

殺意をもって弱者を攻撃するというのはおぞましい。

自爆テロやカラシニコフをもって突っ込まれたら、屈強な男たちが集まっていても阻止できないだろうけれど、刃物一つなら、クラブ・マガなどの護身術の心得のある人なら取り押さえることができるかもしれないし、何人かが協力したら、怪我をしても阻止できるかもしれない。
でも刃物をもって障碍者施設だとか、丸腰の8486歳の宗教者が「お勤め」をしている聖堂を襲うなんて、ほんとうに蛮行中の蛮行だ。コンテキストは違うけれど病理は共通する。
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by mariastella | 2016-07-27 00:35 | 宗教
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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