教会テロが一つのチャンスだと思えてきたわけ その1
さっき、サイトの掲示板で、
「(・・・・)今回の事件によって、「信仰の炎」が心の中で燃え上がるような想いがしております。 愛と赦しといつくしみによる生き方をせよ、そして広めよ、一刻も早く、おまえの身の回りからすぐにでも始めよ、ぐずぐずするな、ぼうっと見ている場合ではない、傍観者になるな、日々の生活のすべての局面で積極的に行動せよ、福音にのっとった生き方によって、ということかな、と」 という投稿を拝見して、すごい、日本でも、カトリックの人はこういう反応をするのだなあと嬉しくなった。 私の返事は、ここにも書こうと思っていたことの一部なので貼り付けておくと、 ・・・そのようにお考えになれることが、今回のテロでカトリックの司祭が犠牲になったことの大きな意味の一つだと思います。 フラ・アンジェリコの言葉に 「世界の闇は一つの影に過ぎない。その後ろに、我々の手の届くところに、喜びがある。この闇の中には、我々に見えることが出来さえすれば、素晴らしさ、言い表せない喜びがある。そしてそれが見えるためには、見ようとするだけでいいのだ」 というのがあります。 (キリスト教は)死からの復活だけではなく、今ここで呑み込まれた闇からの復活でもあります。 「死」を前にしても「光」の方を見る、ということですよね。 普段はそういうことが理屈としては分かっていても、こういう事件がそういうことをリアルな実践として教えてくれるのは「恵み」なのだと思います。 アメル神父が将来復活するかどうかよりも、今、この世での使命をより広げて新たな使命を遂行し続けているんだなあと思います。 罪のない子供や若者たちがテロの犠牲になるのももちろん不当で悲しいことですが、それだけにリアクションが「怒り」や絶望や恐怖や報復に向きがちです。 アメル神父が犠牲になってくれたからこそ見えてくるもの、言葉にされる赦し、意識される友愛の必要性、などを感じて、感謝の念すら覚えているところです。・・・ ということで、今度のテロがチャンスだと思うのは、「テロの場所と犠牲者」だ。 フランスの風土に密着している、小さな町のカトリックの司祭が犠牲者になったこと。 しかも、若い神父とか外国人神父(実際、アメル神父は2005年に定年で教区司祭をやめていて、この教区にもコンゴ人の司祭が就任した)ではなく、40年以上もムスリムとの共生活動をやっていて、相変わらず洗礼も葬儀も結婚式も司式して町の人の生活と密着して「いかにもフランス人らしい」神父であったこと。 イスラム教の人たちとも、一応カトリックでも教会に来ない人た(これが一番多い)とも親しく付き合い、皆から愛されていた。 テロリストの19歳の青年は、いわゆるムスリムではない。 「シリアに行ってアサドの兵士をできるだけ殺さなくては」という使命だけをISというカルトから洗脳された犠牲者で、「コーランの一節だって知らなかった」と町の他のムスリムが証言している。 で、そのシリア行きを阻まれて鬱屈しているところにISから 「大丈夫、君の使命は、君の手の届く範囲のところでだって遂行できるよ、近くの教会で不信心者を殺す、それだって立派な聖戦だ、大げさな武器弾薬がなくてもいい、信仰さえあればそこいらの刃物でも戦えるよ」 みたいなことを吹き込まれて実行に踏み切ったわけだ。 それについては後の記事でまた触れるが、とにかく、このアメル神父が惨殺されたことで、カトリックの論客や、宗教の論客が、問題を初めて綺麗ごとでなく「当事者」として語ってくれることになった。 「当事者」の最たる人は、アメル神父自身で、この夏休みに入る前の教区報に、夏の祈りのアドヴァイスとしてこういう文を載せていた。 「今の時期に私たちの世界で起こるだろうことに注意を向けて、 最も祈りを必要としている人たちのために、 平和のために祈りましょう」 こういうメッセージを発していた人が殺された時、残された人は、情緒や怒りに負けないで、何が本当に大切なことなのか、何をすべきなのかを考えざるを得ない。
by mariastella
| 2016-07-27 23:27
| フランス
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