聖ヴィンセンシオ・ア・パウロ(saint Vincent de Paul)の愛徳姉妹会は、17世紀フランスでヴァンサン・ド・ポールとルイーズ・ド・マリヤックがパリで始めた都市型社会奉仕の活動修道女会だ。
19世紀には(1830)、見習い修道女のカタリナ(カトリーヌ)・ラブレーの前に聖母が現れて、「不思議のメダイ」(奇跡のメダル)を造るように指示した。そのメダルは今でもカトリック世界で最も人気が高く流布しているものであり、聖母の現れたチャペルには毎日世界中から巡礼者がやってくる。
そのような「ご利益」にみちた場所やグッズのルーツとなった修道会なのに、シスターたちは創立の時から変わらず、一人暮らしの人、病気の人、貧しい人たちのためにひたすらエネルギッシュに飛び回っている。
テロに遭遇した三人のシスターも、ノルマンディ、ブルターニュ、ノール、パリ近郊などでも共に活動をしてきた仲間だ。
教会から逃げて電気会社の車にSOSを通報してもらったシスター・ダニエルは一週間に三日、町で教区の主催するVesti'Amis(寄付された衣服の流通場所で誰もがコーヒーを飲みながらおしゃべりなどができる)の手伝いをしていた。
だから親元にいた19歳のアデル・ケルミシュ(テロリストの一人)や彼の家族とも顔を合わしていたかもしれない。
教会とモスクは同じ敷地内にある。正確に言うと、モスクへのアクセスのために教会が通り道を譲ったもので、ムスリムのお祭りの時には芝生も開放する。
7/26のミサはシスター3人とC夫妻だけの参加だった。普段来ているポルトガル人の夫人たちはバカンスに発っていたからだ。
9h30、空色のポロシャツを着た青年がシスター・ユゲットに、教会はいつ開いているかと尋ねた。
学生だと思った。
10分後にまたいらっしゃい、と彼女は答えた。
10分後に彼はもう一人と共に戻ってきた。全身黒ずくめだった。(続く)