L'art de croire             竹下節子ブログ

シスターたちの見たテロ その5

(これはその4の続きです)

シスター・エレーヌは、くじけてしまわないように心の中で聖母マリアに祈った。

アルジェリアのティビリヌの修道院から拉致されて殺害されたクリスチャン・ド・シェルジェのことが頭に浮かんだ。
映画『神々と男たち』で日本でも知られる修道士たちの殺害事件はちょうど20年前に起こった出来事だった。
当時内戦状態で身の危険が迫っていることを知りながら、町の人たちの奉仕に身を捧げていたフランス人修道士らは敢えて修道院に残ったのだった。(関連記事

数ある聖人伝や殉教者伝は、すべて、「証言」「証し」の意味を持つ。
人は人を愛することができるという証しだと言う。

それこそが殉教者たちが伝える「福音」であり、その蓄積が神に人生を捧げたすべての聖職者、修道者を固く守っている。

若者との「神学問答」において、シスター・エレーヌは

落ち着いて平静に答えること、
最低限の答えにすること、
自分の信念と反することは言わないが、あまり言いすぎないようにすること

の三つに気をつけた。

シスター・ユゲットに向けられた質問はイエスについてで、キリスト教とイスラム教が合意しない点についてだった。

「イエスは人間であって神でもあるということはできない。あなた方は間違っている」

ともう一人の殺人者が強い調子で言った。

小柄なシスターは、

「そうかもしれないわね、でもしょうがないわ」

と答えた。

「火に油を注ぐようなことはしたくなかったけれど、自分の考えを否定することもできなかったからです。死ぬだろうと思いながら心の中で命を神に捧げていました。」

と彼女は回想する。
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by mariastella | 2016-08-11 00:31 | 宗教
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