L'art de croire             竹下節子ブログ

ノートルダム・ド・リエス その2

(これは前の記事の続きです)

そうはいっても由緒ある巡礼地、巡礼団が来て駐車が大変かもしれない。

アルジャントゥーユに行ったとき
は一帯が駐車禁止になり、個人の巡礼者は電車で来るようにと指示されていた。

で、ミサが10時半ということを調べて、朝の7時半に車でうちを出て、快晴のパリ郊外を順調に走る。

この道は、昔は月一度は通ったこともある道だ。ランLaonのカテドラルにももちろん行ったことがある。

国道2号線のすぐわきに風車が一つあるのも懐かしい。
今や高速から見えるのは白い風力発電の巨大風車ばかりだから、この風車と平野のところどころに教会の尖塔が見える広い空の景色に郷愁をそそられる。

ようやく「リエス・ノートルダム」(町の名)について、バジリカ聖堂(教区の教会でもある)の塔を確認して駐車する。

車はそう多くない。

同時に駐車したカップルに声をかけると彼らももちろんバジリカ聖堂に行くそうで、よく知っているというので一緒に行く。

9時半。

奥さんのほうがサクリスティで10時に告解の予約?をとっているので早く着いたそうだ。

聖母被昇天祭は復活祭と同じく事前の告解とセットになっているのが伝統だった。
この夫人はそれをちゃんと守っているわけだ。

けれども、そんなことを言っていられない実情を見越して、ミサの初めに集団の告解と免償があった。

これは1973年から取り入れられた「例外的」なものなのだけれど、ヨーロッパの教会でこれをやり過ぎて個人の告解が少なくなったというので1983年に自粛をよびかけられたようだが、私はすでに何度も遭遇している。

日本でこの話をしたら「そんなもので個別の告解に替えることはできない」ときっぱり言われたことがある。

ルルドくらいの大所帯になると、巡礼団の数も司祭の数も半端でないから個別の告解は24時間受けつけ、みたいな感じだけれど、さすがに「中世から大波小波に翻弄されてきた百戦錬磨の巡礼地」リエスでは、プラグマティズムが幅をきかす。

先日のノルマンディでの教会テロの後なので、ルルドやノートルダムの大警戒態勢が連日テレビで報道されているから、枯れたとはいえ由緒ある聖母の巡礼地、ここも大丈夫かなあ、多少は警備されているかなあと気になった。

ISから直接指令されるようなテロの標的地でないことは確かだけれど、この前のノルマンディのテロは、小さな町の実家に謹慎監察処分だったISシンパの19歳が、地元の「近間」の教会を攻撃したわけだから、どんなさびれた場所でも教会は目立つからリスクがないとは言えない。まあ監察処分の人は土日、祝日は外出禁止だそうだから今日はおとなしく…してるのだろうか…? と、「及び腰の巡礼」だったのだが…。

町は閑散としている。

聖母被昇天の祝日なのにしまっているお店が多く、教会の前にカフェ一つない。

ビリヤード台のあるバーが一つ空いていたが、今は法律で禁止されている店内のタバコをふかしながらカウンターで酒を飲んでいる男が一人いただけだった。

たった一つ空いているパン屋にもパリのようにサンドイッチやサラダを売っているわけではない。過疎化した町という感じだ。

(ずいぶん後で、唯一あるホテルのレストランだけは満員で、体の不自由そうなお年寄りがたくさんいて22ユーロの「巡礼コース」という唯一の昼食を食べているのを見つけたが人手がないので、喫茶部は閉めていてコーヒーも飲めなかった。)

それでも立派なバジリカ聖堂に入る。

まだほとんど人の姿はない。

もちろん柵もなければ警備員も立っていず、手荷物検査もない。

不安だけれど、まだ人でいっぱいにならないうちにとりあえず祭壇の奥にある黒いマリアのところに、と思ったら、そこでは誰かの婚約式のミサが行われていた。遠目にしか見ることができない。

ルイ13世が寄進した香部屋の方に行く。

さすがに充実した「巡礼土産」が並んでいる。

祈りの成就、奇跡感謝の奉納版もびっしり貼られ、「最初の奇跡」の大きな絵、歴代の軍人たちが奉納したレジオン・ドヌールなどの勲章もずらりと飾られている。

奇跡の治癒を得た人がおいていった杖や松葉杖もある。

ここのメダルはいろいろあるが、マルタ十字架の真ん中に黒い聖母子像を配したものが美しいデザインなのでお土産に購入(黒い聖母像をエジプトから持ち帰ったのが地元のマルタ騎士団の4 人だった)。
百合の花はフランス王室との深い関係を表している。

売店の女性といろいろな話をした。

先日のテロの影響について聞いてみる。後で同じ質問を教区司祭にもしたのだけれど、この女性の答えの方がずっと率直で興味深いものだった。(続く)
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by mariastella | 2016-08-17 00:25 | 宗教
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