L'art de croire             竹下節子ブログ

シン・ゴジラ

日本に来る前に見たかったフランス映画が3本、行きたい芝居がひとつあったのに、校正などしているうちにすべて見逃した。

で、夜行便にもかかわらず、日米仏映画を1本ずつ見る。

日本映画はネットでいろいろなコメントを読んでいた『シン・ゴジラ』。

いろいろな軍隊、武器、軍事作戦のリアルなオンパレードで、

「武器があれば使いたい、使っているのを見てみたい、効果を見てみたい」

という欲求に迎合しているようで、私のようなタイプはひいてしまう。

でも、人同士の権力や領土や経済的な闘争による戦争ではなく、怪物」という分かりやすい「敵=悪」を殲滅するということで、エイリアン相手よりもさらに分かりやすい仮想敵設定を正当化。

「想定外」への対応も、いろいろな含意を思わせる微妙なパロディだ。

しかし、日米安保だとか、永遠に戦後が終わらない、日本はアメリカの属国だとか、これも分かりやすい政治メッセージは、ある意味で新鮮だ。

もっと評価できるメッセージは、ゴジラのデータなどを秘密にせずに世界中にばら撒いて共有することで得られる集合知の大切さである。

さらにもっとも痛快だったのが、日本がようやく「欧米」の区別をして、国連安保理で拒否権を持ち、アメリカに楯突くのが伝統のフランスに根回しをしすることで日本への核爆弾投下を延期させたところだ。

フランスがアメリカ独立戦争を助けたことは今でも「絶対消えない外交上の貸し」として残る。フランスからのプレゼント自由の女神が立っている限り残るだろう。

日本への原爆投下にフランスの知識人たちは本気でショックを受け、トラウマになった。

カミカゼ特攻機がアメリカの軍艦に命中して火を噴く実録映像を見ると映画館の中で拍手が起こるお国柄でもある。ジャポニスムの昔から、エリート、アーティストは日本びいきでもある。

サウジアラビアですらアメリカへの牽制手段としてフランスからも武器を買っている。

アメリカ封印対策はフランスを活用。


というわけで、日仏有効映画としてシン・ゴジラはマル。フランスで公開されたら絶対に受けて「親・ゴジラ」となるだろう。
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by mariastella | 2016-10-19 14:42 | 映画
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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