L'art de croire             竹下節子ブログ

モンキーマインド

空港宅配便の集配が早く来たので日曜の午前中がぽっかりと空いた。

表参道は人混みなので、青山の方へ行き、国連大学の朝市に久しぶりに行って、青山ブックセンターに寄る。

つい、8冊も本を買ってしまったけれど、もうスーツケースは送ってしまったし、クリスマスまで読む暇もないので、クリスマスに手に入るように手配。
クリスマス休暇の楽しみができた。
フランスに帰ったらクリスマス休暇まで、キリスト教に関する本をスタートさせ、アンサンブルの練習やレッスンの遅れも取り戻さなくてはならない。

いつも前を通っていたけれど入ったことのないクレヨンハウスにも寄った。

絵本だけでなく、落合恵子さんが古希を迎えたということで、「老い」やシニアのファッションなどのテーマの本もいろいろあった。

先日、あるつきあいで、脳の休息法についての本を読まされたのだけれど、その中にモンキーマインド解消法というのがあった。
雑念が次から次へと起こって、自分と雑念の区別がつかなくなって脳が疲労するのだから、それを解消するには自分はプラットホームに残って、「考え」というサルの乗客の乗った電車が行きかうのを客観的に見るようにしろ、という話だった。

それを読んだ時、とても違和感があった。

雑念といえば雑念といえるのは私にもいろいろあるけれど、それで疲れたり、それと同化したりするなんて意識などないからだ。
「考え」は多ければ多いほど、泳がしているうちに勝手にさまざまな形をとって進化するので後からその成果を言語化するだけでいい、という風な部分もある。

いろいろな考えは、全く構成のちがう日仏語で等価に扱い可能になるまでは、まず非言語領域に入れておくという癖がついているからかもしれない。

でも、こういう書店でこういうテーマの本(同時代人だった落合恵子さんがこんなふうなシニアライフを送っているんだなあ)を見たり、いわゆる健康本や健康長寿本、飲んではいけない薬、してはいけない手術とか、シニアの美容だのファッションだののフローな情報(日本にいればこれらがどっと入ってくる)を見たり聞いたりしていると、あっ、これは確実にモンキーマインドなんだと分かる。

そしてこれらの情報の多くはまさに「あなたの将来、あなたの健康、あなたの快楽、あなたの見た目」を扱っているから、ついサルの列車に乗ってしまう人も出てくるのだろう。

モンキーマインド解消法は、思考にラベルを貼り、同じようなもの、すでに考えたものなどを仕分けして雑念の断捨離をしろという認知療法の一種らしいが、確かに、健康情報、快適なシニアライフ情報みたいなものはどれもみな似たようなものだ。
脳内飽和状態になる。

でも老いとか死とか病気とか実存的不安をうまく隠し味にして提供されるので、仕分けしないままに脳疲労を起こすというのは理解ができる。

日本に長くいたら私も気をつけなくてはいけないかもしれないけれど、フランスに帰ったら日本で仕入れたどんな健康情報も美容情報も一週間も経たぬうちに雲散霧消してサルは一匹もいなくなる。

前からそれは気づいていたけれど、日本が高齢化社会になって、健康情報やアンチエイジング情報がどんどん強迫的になってきた気がする。

フランスの高齢者は誰も自分のことを「みんなと同じ高齢者」だと思っていないのだろう。

でも、サルにかまっている暇がないのは、確かだ。
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by mariastella | 2016-11-07 00:23 | 雑感
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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