今回の大統領選におけるキリスト教徒の投票。
アメリカ有権者の25%を占め、共和党支持者の3分の1を占める福音派は、81%がトランプに投票した。
カトリックは、51%がトランプに、45%がヒラリー・クリントンに投票した。
カトリックの支持は、フロリダ、オハイオ、ペンシルヴァニアなど、住民の20%以上がカトリックである地域においては大きな意味を持ったという。
フランシスコ教皇は冷静で丁寧な祝辞をすぐに送っている。
就任後のトランプの動向を見てから反応するという大人な対応だ。
移民排斥や環境問題への反発発言は、教皇庁と真っ向から対立するものだが、中絶や同性婚に対する保守的発言は教皇庁と波長が合う。
副大統領のマイク・ペンスは弁護士で、インディアナ州知事として妊娠中絶のハードルを上げたせいで「超保守キリスト教徒」と称されることもあるが実は共和党として平均的な保守キリスト教徒というところであるらしい。
ヒラリー・クリントン陣営はもちろんこの人を激しく糾弾していたが、トランプの暴言をフォローしてきたコミュニケーション能力は評価されている。
彼の両親は民主党支持のアイルランド系カトリックで、57歳の彼はアメリカ初のカトリック大統領ケネディを幼いころから尊敬していたという。
学生時代にブッシュ・ジュニアと同じ「ボーン・アゲイン」の福音派に共感して、家族の中で立った一人カトリック教会から離れたという。
しかしカトリック離れを公言したことはなく「カトリック福音派」と称して、幼少期のカトリックと福音派プロテスタントの理想をミックスしたような立場にいるらしい。
トランプの方は、父方がドイツ系、母方がスコットランド系でアングロサクソンのエスタブリッシュメントにはルサンチマンがあるのかもしれないが無難な長老派プロテスタントで、移民に橋を渡すのでなく壁を造るような者はキリスト者ではない、と
ローマ教皇に言われているけれど、すぐに謝罪して見せた。
そういえば無神論者を自称するバーニー・サンダースは4月に教皇と会見している。
レッテルなんて関係なく、実際にどう行動するかが「キリスト者」かどうかの決め手らしい。