L'art de croire             竹下節子ブログ

フランス共和党予備選の結果

共和党予備選の結果が出た。

フィヨンとジュッペの決選投票になる。

ほっとしてなんだか気が抜けた。

サルコジが敗れたのはトランプの反面教師効果だなあと思う。

フランス人、ブレクジットを批判し、アメリカの大統領選をせせら笑ったからには、ここでサルコジ、とはいかなかったのだろう。

フィヨンもジュッぺもゴ―リストでありソシアル、ソシエタル路線なので、どちらが勝っても「フランスらしい」候補者になりそうだ。

しかし、最後の2、3日でフィヨンの勝利がこれほどはっきりと「分かった」のはおもしろかった。
アメリカにいたら、こんな感じでトランプの勝利が「分かった」のだろうか。

本命の3人、ジュッペはシラクと組んでいたし、フィヨンはサルコジの首相だったのだから、どいつもこいつも、という感じで、新しさはないと思っていた。

最後のアンケートで、ジュッペが17%失い、フィヨンが15%上がった。

明らかにジュッペ支持者がフィヨンに乗り換えている。

あるジャーナリストが、フィヨンがだんだんと器を大きくしていくのに比べて、相変わらず落ち着いたジュッぺは、「ancien」だ、と評したのを耳にした時、あまりにもぴったりだったので説得力があり、ああ、これはフィヨンが勝つ、と思った。

確かに、今回の本命の3人は、いずれも普通なら定年でリタイアの年齢だ。
でもフィヨンとジュッペの間は10歳近く離れている。この年代での10年の差は看過できない。

「ancien」つまり、過去の人、だ。
シラクのスケープゴートになって有罪になり、カナダで暮らしていた過去もある意味で暗い。
それに見た目の差もある。
一度「年寄り」と言われれば、ついこの前までの「賢人」「長老」風のプラスのイメージが劇的にひっくり返った。

ポピュリズムは言動にだけでなく「見た目」にもはたらく。

ジュッペの禿げ頭は、ミッテランやシラクを思い出させてしまう。

髪が薄いこと自体がマイナスというわけではない。
サッカーのジダンのように、生え際が後退してきて髪を剃ってしまう人もいるし、それはそれで精悍な感じがする。でも、一定の年を超えた人が、一定の形容をされると、「おじいさん」に見えてくる。

考えてみたら、同じ70代のトランプも、75歳になったサンダースも、髪がある。
トランプの金髪はジョークの種になるほどのトレードマークだ。
サンダースはきれいな白髪だ。

もちろん誰も髪のことなど言わない。
でもこれだけ姿がメディアに出ずっぱりの状況で、最も目立つ顔かたちの印象を大きく変える髪や髪形は無視できない。

フィヨンは姿かたちが「大統領候補」の形に追いついた。
ジェスチャーや声も大きくなった。

ジュッペの余裕たっぷりで落ち着いた感じは、「覇気のなさ」に見えてきた。

興味がわいてきたので、候補者7人の年齢と身長も調べてみた。
コペとジュッペが182cm、ル・メールが190cmとトランプと同じ。フィヨンは175cmとある。
前に165cmのサルコジと組んでいたからもう少し背が高いかと思っていた。

コペは51歳と若いが、彼も額が禿げ上がっているので、老けて見える。

サルコジは来週フィヨンに投票すると言っている。

もしフィヨンがこの先、大統領になるなら、またフランソワだなあ、と思う。
フランソワ・ミッテラン、フランソワ・オランド、フランソワ・フィヨン。

フランシスコ教皇もフランス語読みではフランソワだ。
アッシジのフランチェスコは父親がフランスに行っていたときに生まれたのでフランチェスコと名付けられた。

とってもフランスっぽい名前だが、実は、若い世代ではほとんど見られない。
この名前だけで、もう、60代以上だと分かる。

フィヨンといえば、ギニョールのカリカチュアではいつも目の下にクマができた暗い顔で登場していた。
近頃は、明るい顔をしている。

マクロンほどではないけれど。

マクロンは不思議なキャラだ。あまりもの若さがどう受けとめられるだろう。
ナポレオンは皇帝になった時、35歳でしかなかった。
マクロンの話しぶりを聞いていると、ナポレオンもこんな風だったのかなあと思う時がある。

さて、木曜日にはジュッペとフィヨンの最終討論を聞いてみよう。
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by mariastella | 2016-11-21 07:41 | フランス
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