L'art de croire             竹下節子ブログ

フランス大統領予備選 その7

日曜に最終投票となる今回のフランス共和党予備選、事実上の本選だとも言われている。

そのくらい、オランド大統領の人気はないし、社会党が内部分裂を起こしていることもあって、政権交代の可能性は大きいからだ。

では私がフィヨンとジュッペのどちらがましかと思っているのか、と聞かれたのだけれど、社会党の分裂を反面教師とし、アメリカの共和党の分裂も反面教師とし、彼らは、どちらが選ばれても協力態勢で行くことは大体予想できる。

2人ともフランシスコ教皇を引き合いに出して「良心」のある所を強調しているけれど、如何せん、2人とも、教皇とは正反対の「経済成長優先」であることは明らかだ。

いまだにサッチャーの規制緩和を見習えなどと言っているが、考えたら、これ以上経済成長を指標にしたら、地球が壊れてしまうのが分かっているような時代にどうしていまだにそんなことを言えるのだろう。

セキュリティの問題や社会の不満は、みな失業者が多くて可処分所得が減っているのが原因だ、だから「企業と投資家を優遇して景気を良くし、雇用を創出して、利益をみんなに還元する」という理屈がうまくいかないのはもうどこでも証明されていると思うのに。

フィヨンもジュッペも富裕層の特別税を廃止してTVA(消費税に相当)を上げる、などと言っている。

国際的な競争力、発言力はとにかく経済力だ、というのは、もう通用しない。

しかも、今の世界の国々の経済力の大きな部分は軍産複合体にある。
早い話が、経済成長のためには、武器や軍備を増強するのがてっとりばやい。
それは潜在的に戦争を必要とするということであり、街や道路を戦争で破壊したら、今度はそれを再建するための公共事業や復興産業が待っている。

こういう、かなり分かりやすい利権構造が見えているのに、みんな、とりあえずは自分ちの庭に爆弾が落ちなければいいのだろうか。

もう一つ、フランスのカトリックが共和党寄りか社会党よりかという質問だが、全体の傾向としては、
ソシアルにはとても左寄り、ソシエタルには右寄りであると言えるだろう。

ソシアルというのは、同じ共同体のメンバーに対する人間的な関係で、弱者やマイノリティに寄り添う無償の社会福祉的なものは社会党と親和性がある。

ソシエタルは、主として経済的政治的なレベルで使われる言葉で、異なる社会に対する関係と言える。
例えば、企業が自分の従業員に対するのはソシアルだけれど、外国の原料供給者だとか、地球の環境の保全とか、地球レベルでの平等や持続可能性などを考えるのはソシエタルである。

その意味で、自分ちの経済、自分の国の国力増強を優先するのはフィヨンもジュッペも変わらないし、フランスのカトリックと親和性があるだろう。 経済至上主義や金の偶像崇拝を弾劾する教皇とはまったく反対なんだけれどね。
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by mariastella | 2016-11-26 06:14 | フランス
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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